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1940年代から続く=ユバ農場=Xマスの集い

2005年12月27日(火)

 ユバ農場では今年も恒例の「クリスマスの集い」が二十五日行われた。三十日午後七時半からも同じプログラムで行われる。器楽演奏や合唱、バレエに芝居と約三時間の盛りだくさんの舞台だ。
 この催しは、ユバ農場の日常生活の中で行われている文化活動の発表の時であり、一年間の生活の集大成。それぞれが学び、練習を重ねてきた成果を発表する場として、一九四〇年代の後半から行われるようになってきた。
 当時の演目は、簡単な聖劇や遊戯、ピアノ演奏や合唱などで、舞台も鶏の餌小屋や製材所の一角に作られた仮説舞台だったが、一九六一年に専用の劇場「テアトロ・ユバ」が出来、生活の中にバレエを学ぶことが加わり、それが一つの切っ掛けとなって上演するレパートリーも増えてきた。現在のアリアンサには、そんな当時からユバのクリスマス公演を見続けてきた人たちも健在だ。
 三十日の公演には遠来の人たちが多く、時には日本やアメリカ、ヨーロッパからわざわざこの時期に合わせて来訪する人もいる。小さな子供達のピアノから始まって、ユバの弦楽オーケストラ、ジャズ演奏や合唱の他、バレエも毎年新作が発表される。
 今年は、一昨年から週に一度、ユバにバレエを習いに来ているアリアンサ日本語学校の幼児たちを指導している、熊本早(さき)さん(20)が初めての振り付けに挑戦した「おもちゃ箱」という作品(とても可愛くてお勧め)、そしてユバの正団員たちによる豪華な衣装で男性も総出演する「華麗なるワルツ」など全五曲が披露される。
 またクリスマスにのみ公開される芝居は、不朽の名作とも言われる木下順二原作の「夕鶴」、一九六二年の初演以来六度めの公演。今年はオリジナルとはちょっと異なった新たな脚色(矢崎正勝作)で、導入部により民話的な場面を挿入した。
 今回の主役は、与ひょう・矢崎勇さん(25)、つう・辻 良香さん(18)、うんず・弓場大五さん(20)と若手の抜擢だが、そうど役はユバの〃笠智衆〃こと通称クマさんの滝本克夫さん(83)が演じる。クマさんは初演から毎回出演して全ての役を演じてきたが、このユバきっての好々爺のクマさんが、本番にどこまで悪役を演じきってくれるか楽しみだ。
 農場では「三十日のテアトロ・ユバの公演、まだ間に合います。是非とも一度ユバ農場のクリスマスの集いにお出掛け下さい」と案内している。電話(018・3708・1247。
(矢崎正勝さん通信)

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