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コラム 樹海

 「高安犬物語」で直木賞を受賞した戸川幸夫は、動物文学作家として知られる。あのイリオモテヤマネコの発見に大変な功績があったし動物に関する数多くの作品を遺してもいる。世界には40種のヤマネコがいるけれども、日本にはツシマヤマネコと2種がおり真に貴重なものであり、特別天然記念物にも指定されている▼あの発見には戸川幸夫をはじめ西表島の住民や動物学者などの連携が大きかった。ある動物の新種を見つけるというのは非常に難しい。今のように文明が発達し何処の国にも高層ビルが建ち並ぶようになればなおさらの事である。そんなところへ鳥やカエルなどの新品種を1ヶ月の間に25種も見つけたというニュースが飛び込んでいた。インドネシアのニューギニア島西部(パプア州)の秘境でだが、こんな大発見は真に珍しい。5種類のヤシなど新種の植物も多数―▼俄かには信じ難いけれども、米とインドネシアの専門家がジャングルに入り調査したのだから―ここは「信ずる」しかない。あの一帯は人跡未踏の地が多い。現地の人々もほとんど足を踏み入れたことがない密林が100万ヘクタ―ル以上もあると外電が伝えるから将に原始林に違いない▼ヒマラヤ山中には全身が毛に覆われた人間のような「雪男」がいるとされ探検隊が派遣されたりもするが、今回のような動物や植物の大量発見は、もうこれからは無理ではないか。英国の湖には「ネッシ―」がいるとかで若き頃の石原慎太郎知事が調査隊を率いたりもしたが、もう地球に秘境は少なくなっているのだし―。   (遯)

06/02/14

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