ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 「宮城の天才少女」がトリノ五輪の「金」に輝いた。日本中が待ちに待った瞬間―。フィギュアの荒川静香選手が氷上で見事な舞を演じ最高の「金」を手にした。首相は「やってくれた」と大喜びし国民は沸きに沸く。大阪市では、荒川選手らのテレビ観戦が原因で142万世帯の水道使用量が約10%も減ったそうだし、地元の仙台市でも歓声が上がり大騒ぎ▼今大会での日本の不振ぶりは目に余る。マスコミの予想も甘かったし、日本オリンピック委員会も5個以上のメダルは取れると豪語していた。ところが―世界の壁は厚い。若手は伸び悩み―ベテランも疲れが目立ち上位に食い込めない。五輪参加はメダルが目的でないのは確かだが、やはり勝負に勝って会場に「君が代」が鳴り渡るのが夢であり願いだ▼奇跡の逆転で優勝した荒川選手は、表彰台に上がり「君が代」のメロディが流れると静かに唇を合わせる。この「天才少女」も決して楽楽の「金」ではない。04年の世界選手権では優勝したが昨年は9位になり、その瞬間に「このままやめるわけにはいかない」と決意する。が、前回のソルトレ―大会には代表にもなれずに引退を示唆することもあった▼イタリアの新聞は荒川礼賛で埋まり「ドガの絵を見るような」と報じたけれども、あの「ドゥーランドット」に乗って舞う荒川選手の姿は美しく躍動的な「動」を見せる。水色の衣装も冴え3回転―2回転のジャンプが氷上に踊る。政府は紫綬褒章の授与を検討し、宮城県は栄誉賞を。荒川さん―「おめでとう」「ありがとう」。      (遯)

06/02/28

image_print