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JICA=パ国中央市場の近代化に=田元セアザ総裁を派遣

2006年3月3日(金)

 JICAサンパウロ支所がパラグアイの首都アスンシオン市に対して実施している技術協力事業が、今年の三月に終了する。この事業は同市にあるアスンシオン中央卸売市場の運営改善を目的に二年半実施されてきたもの。終了を前にアスンシオン市から、エンリケ・リエラ市長をはじめ関係者が来聖、サンパウロ州食品配給センター、市営市場などの現場を視察した後、二十三日にJICA聖支所で会見した。
 アスンシオン中央食品卸売市場(DAMA)は一九八一年に世銀の融資を受けて開設された、同市直営の公設卸市場。国内の食品流通の近代化を目的に開かれたものだったが、歴代市政の間に、衛生・治安面の悪化などが進んだまま放置された状態になっていた。
 この状況を改善するため、〇一年に就任したエンリケ・リエラ市長がJICAパラグアイ事務所に協力を要請。〇三年十一月から、サンパウロ支所の日系第三国専門家派遣事業として、サンパウロ州食料配給センター(CEASASP)総裁をつとめた島田正明さんがパラグアイに派遣された。
 JICAは八一年の開設当初から二度にわたって、同市場の運営改善を目的とした技術協力を実施している。今回のプロジェクトでは、アスンシオン市役所とともに、ブラジルの市場運営をモデルに、内部の保冷庫の管理や清掃、ゴミ処理などの衛生業務を外部に委託する計画を進めた。
 さらに、同市場では販売者の多くが女性であることから、市場内で子弟への医療サービスなども実施。食品の売り方や並べ方の講座も開いているという。
 治安面では、市場の周囲を塀で囲み、不法侵入・占拠を防止。リエラ市長は、「今は清潔、安全で行きやすい所になりました」と治安改善の効果を強調する。
 現在、市場の年間予算は約百万ドル。一日に約千二百トンの食品を取り扱い、約二万五千人が出入りする。年間の販売額は三億ドルに上る。〇五年には年間二十万ドルの黒字を達成した。四年前の赤字(年三十五万ドル)から比べ、大きく成長。現在は首都圏を中心に国民の約四割の胃袋を支えているという。
 島田専門家はジャニオ・クアドロス市長時代にサンパウロ市の食料供給部門で働いたほか、マリオ・コーバスサンパウロ州知事在任中の九五年から二年間、セアザの総裁を務めている。
 島田さんは「サンパウロ州、サンパウロ市での三十五年間の経験を生かせた。自分はブラジル人だが、日系として、自分の専門領域で日本に協力できたことを誇りに思う」と今回のプロジェクトを振り返り、「終了後も引き続き、アスンシオン市にがんばってほしい」と期待を表わした。

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