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コラム 樹海

 鳥インフルエンザの広がりは速い。特に恐いのは病原性とされるH5R1型であり、これに感染した鶏は死亡し被害は大きい。中国やインドネシアでは人への感染もありすでに犠牲者が出ているし、対策に懸命ながら抜本的なものはないに等しい。伝染の嵐は欧州にも飛び独・仏・伊など全域に及んでいる。エジプトとナイジェリアのアフリカにも広がっている▼ブラジルではまだ発生の報告はないけれども、もう安心はできない。この国の養鶏には日本移民も大いに貢献したし今や鶏肉の輸出大国にもなってもいる。だが、この難病の感染原因には、海外からの鳥類輸入などの他に渡り鳥によるのもあり完全防止は極めて難しい。この辺の事情については、新聞やテレビでも報道されているけれども、今は防止対策を急ぐ必要がある▼日本でも発生し山口県の養鶏場で27万羽が強制処分されたし、アメリカでは1700万羽、イタリアは1300万羽を処分の記録が残っている。新たな感染を防ぎこの病気を根絶やしにするには「殺す」しかない。目下のところ、鶏肉と卵を食べても人に感染したの報告はないそうながら、薄気味が悪くて食膳に乗せるのを嫌がるのが人情というものであろう▼スペインカゼというのがあった。1918年に大流行し2000万を越す人々が死に追いやられたが、あれもインフルエンザである。今、世界を襲っているH5R1型が変形しすぐに人に感染するようだと大変なことになるし、特効薬とされる「タミフル」が増産されてはいるが、これが60億もの人々に簡単に配れるとも思えないし―全く以って気が重い。(遯)

 06/03/07

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