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記者の眼■=県連=次期会長に複数名が=見えない次のビジョン

2006年3月8日(水)

 県連会員は「中沢体制」の継続に「ノン」を突きつけた――。三日に開かれた県連臨時総会。執行部が提示した定款改正案は、ほとんどが否決。中沢宏一会長三選の芽もなくなった。二年前から続いてきた定款改正問題が、ここにひとまず決着を見たことになる。執行部が舵を取る形で事業の幅を広げてきた県連。会長自身が言うように、執行部案否決という結果は、今後の運営にも影響を及ぼしかねない。焦点は次期執行部の人事に移りつつある。
 「投票総数の三分の二」というハードルは、やはり高かった。三日の臨時総会。執行部の定款改正案は、過半数の賛同を得たものもあったが、そのほとんどが否決された。
 中でも注目を集めていた会長任期の制限撤廃は、二十七対十七票という大差での否決。定款から言えば、中沢会長には連合会会長として再び臨時総会を招集する権限はある。しかし、十票差という結果を見る限り、その可能性は低い。
 焦点は次の執行部人事に移りつつある。現行定款では、会長は任期終了後の次の期における連合会役職への立候補が認められていないことから、中沢会長はひとまず県連のいかなる執行役員にもなれない。
 新会長については、四年前にも名前が挙がった高橋一水副会長(高知会長)など、すでに何人かの県人会長の名前が取りざたされている。歴代会長の経緯を見れば、現執行部から会長を選んで新執行部を組織する形も考えられる。
 複数シャッパの可能性を指摘する声もある。その場合、十四人というシャッパの人数がネックになってくる。四十五の県人会から十四人を選出するため、組織を二分してしまう危険があるからだ。
 この問題については一部会員から、県連内の有能な人材を活用するためにも改善すべきとの意見が上がっていた。現に二年前の改選では、中沢会長に反対する側が別のシャッパ提出を目指したことで県連内に亀裂を生じ、今回の事態の大元となった経緯がある。
 次期総会が、県連始まって以来の複数シャッパによる選挙になるのか。新執行部を選出する定期総会は、例年なら三月末に開かれる予定が、日時はいまだに確定していない。
 その理由の一つが、昨年度第八回フェスティバル・ド・ジャポンの収支報告をめぐる問題だ。
 昨年七月に開かれた第八回フェスティバルは、予算規模も百万レアル以上と前年から急増したが、その収支報告が半年すぎても監事会の承認を得られない状態が続いている。
 監事が指摘する会計書類の不備に対して、執行部や実行委員会は数度にわたって報告書を作成してきたが承認をえられず、いつ解決するか、その見通しすら立たない状態だ。
 今年度のフェスティバルの準備、県連創立四十周年式典など直近の案件を抱えているにもかかわらず、それらを話し合うはずの代表者会議は会計問題で再三紛糾し、県連の運営は停滞したまま。相談役から執行部に出された通告書の問題も解決していない。
 会計問題が解決しなければ、次へ進めない。
 定款によれば、定期総会は四月末までに開催する規定になっている。臨時総会の席で、中沢会長もその可能性に言及している。
 中沢氏に反対する勢力は、会計問題を中心に執行部批判を続けてきた。今回の定款改正案否決もその延長上にある。結果的に会長の続投ははばんだ。しかしその一方で「中沢後」の具体的なビジョンは示されていない。人間なら〃不惑〃の年とも言える四十周年を迎えた今年、県連はどうあるべきか――改めて問いかけられている。  (ま)

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