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赤間学院=サンパウロ市の私立校中14位に=全伯頂点の一角占める=2月にENEM結果発表=名だたる名門校の上へ

2006年3月10日(金)

 伝統校から全伯に誇る優秀校に――。毎年全伯いっせいに行われるENEM(国立高等教育試験)の学校別成績が二月発表され、サンパウロ市にある五百九校の私立高のうち、赤間学院(セントロ・エドゥカショナル・ピオネイロ=赤間エウザ澄子学院長)が十四位に入るという快挙を成し遂げたことが分かった。公立校を入れれば千百九十七校中の十六位となる。サンパウロ市でこの順位ということは、参加した全伯の約二万二千校の中でも頂点の一角を占めていることは間違いなさそうだ。
 この試験で「最良」とされるのは七十点以上で、サンパウロ市では私立公立合わせて十四校しかない。一位はヴェリッセ校、二位はバンデイランテス校、五位はエタッパ校など有名受験校が並ぶ。
 七十点にほんのわずか足りない赤間学院(六八・八七点)の評価は「普通」「良い」だが、その下にはリオ・ブランコ校、ドイツ系ポルト・セグーロ校、ドイツ系フンボルト校、イタリア系ダンテ・アリギエリ校、フランス系パスツール校、ユダヤ系ビアリッキ校などの名門民族系校が控える。ただの「普通」でないことは、一目瞭然だ。
 〇一年十月にヴェージャ誌がサンパウロ市の優秀私学の五十位ランキングをした時、日系校は一つも入っていなかった。
 赤間学院は〇三年に初めて高校部卒業生が出たばかり。カワハラ・イサオ・フェルナンド同校長は「良い結果に驚いている。でも、もっと良い点をとる余地はある」と余裕の表情をみせた。同校では、この試験のための特別の授業をしていないからだ。
 この試験は、ブラジル教育省の教育研究院(INEP)が九八年からはじめたもので、全伯の生徒の学力を調べるもの。学校ごとの成績が公表されたのは今回が初めてだ。十科目から六十三問の質問と作文があり、五時間で回答する。高校最終学年生徒は全伯で百八十万人いたが、うち百二十万人がこの試験を受験した。
 同学院の赤間アントニオ晃平理事長も「ほんとうに嬉しい。始める時はいろいろ議論も多かったが、予期したよりも早く結果が出てよかった」とホッとした様子。
 喜びつつも赤間エウザ学院長は、学校の教育方針を「良い点をとることではなく、立派な社会人として育てることが目標」と強調し、あくまでも初心を尊ぶ。この精神は、創立者である赤間みちヘ(一九〇三~二〇〇五)校長から引き継がれたものだ。
 全校の生徒数は約八百人で、九割が日系人。教師数は全部で七十五人おり、ほとんどが大学院修士課程修了者。なかには博士号取得者もいる。高校部の生徒九十一人に対して、教師は十四人(生徒六・五人に一人)と手厚い教育をしている。一部全日制で日本語は選択科目。
 サンパウロ州数学オリンピックでも毎年、素晴らしい成績を残している。昨年、金賞に輝いたのも二年生だった森山エンゾさん。自らも数学教師のエウザ学院長も「二年生で金メダルは普通じゃない」と賞賛する。
 昨年末に卒業した二十四人中、十四人がUSP、ウニカンピ、パウリスタ医科大学など難関大学に現役入学を果した。〇四年度卒業生二十五人中、浪人していた十二人が今年入学し、「〇四年のトゥルマは、ほぼ全員が大学に入った」(同理事長)という。
 同中学部卒業生の最も優秀な生徒は毎年、エタッパ校やバンデイランテス校から特別待遇(月謝割引)などで引き抜かれる。残りの生徒が高校部へ進学し、この成績をとった。
 一九三三年創立の赤間学院――日系最古の学校の一つという伝統を保ちつつ、全伯教育界にその名をとどろかせつつある。

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