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運営改革進める友好病院=重要な保険会社対策=医療費支払い滞れば=すぐに健全経営に響く=毎月のモビメント1000万レアル

2006年3月25日(土)

 一億千七百三十万九千レアルの年間予算を計上している日伯友好病院(別府重臣オズワルド院長、二百三十二床)。健康保険業界を覆う経営危機のあおりをうけ、契約先からの支払いが滞る恐れがある。実際に、数件が訴訟問題に発展。必ずしも損失になるとは限らないが、債権(一つは約二百万レアル)を回収できるかは不透明の状態だ。コロニア内外から多額の寄付を集めて建設した病院だけに、運営団体のサンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)も危機感を強めているところだ。健康保険会社対策を含め、健全運営を維持するために医療改革に着手している。
 「一歩間違えば、とんでもないことになるのではないか」。理事の口から、そんな懸念の声がしばしば聞かれている。
 毎月のモビメントはおよそ千万レアル。収入のうち、健康保険会社からの支払いが大きい。もしも滞納が目立つようになったら、病院が機能しなくなるというのだ。
 サンパウロで大手保険会社だった、インテル・クリニカスが一昨年暮れに経営破綻。友好病院が同社に対して二百万レアルの債権を持っていたので、不安が噴出する形にもなっているようだ。
 同社の破綻については、オズワルド・クルース病院が中心になって提訴。友好病院も後に原告側に加わり、司法の判断を待っているところだ。
 山下忠男常任理事(前事務局長)は「回収できなくなったわけではないので、損失ではありません。一般に、モビメントの三%の赤字が出たら経営が崩壊してしまう。その線を超えたことはない」と強調する。
 実際に、友好病院が赤字に陥っているわけではない。それでも健康保険業界自体が不振で滞納がみられるため、細心の注意を払って対処していこうというのが病院関係者の考えだ。
 病院担当の菊地義治第四副会長によれば、契約している保険会社は百社前後。この一年間に、経営状態が思わしくないとみられる約十社を切った。「一旦破綻してしまったら、取り立てるのが難しくなってしまいますから」(同副会長)。
 支払いが一カ月遅れると、文書により督促状を送付。負債を払わない時には、一部の患者の診察をストップするといった対抗措に出ると伝える。それでも相手が要求に従わない時には、裁判に持ち込むことを考慮に入れる。
 菊地第四副会長は「診察をストップしたら、加入者からクレームが出るので、大抵は保険会社の方から、病院に交渉にきます」と手応えを感じている様子だ。
 連邦公務員関係の保険は、支払い能力が月に五十万レアルだった。医療費が七十万レアルに上り、負債がかなりの額に膨らんだ。強行措置をちらつかせたところ、三月に九十万レアルを納入。負債額が三十万レアルほどに下がったという。

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