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運営改革進める友好病院=(続 解説)=保険会社「PACOTE」導入=職員勤務見直しなどで対処へ

2006年3月28日(火)

 健康保険の経営問題は、保険会社だけに帰するものではない。医療コストが上がれば、保険会社の負担も上がるからだ。
 高齢化社会に伴って、医療機関を利用する患者が増えるので、支出は増えるばかりだ。保険料の調整率は、政府によって管理されているので大幅アップは見込めない。
 保険会社の滞納を最小限に抑えるには、病院側の経費削減も求められているといえる。「『安かろう、悪かろう』なら簡単。でもコストを下げながら、質を維持するのは容易なことではない」。別府重臣院長も頭の痛いところだ。
 「医師の報酬だって、ここ五年ぐらい変わっていないし、今の保険システムに満足している人はいません」と言い切る。
 医薬品や検査の必要性から、治療中に使用する手袋の枚数まで、保険会社のチェックは細かく、そして厳しくなりつつある。必要以上の支出を減らそうとの考えだ。
 援協本部も「無駄な検査を省いてもらえるよう、医師を指導していければ」と望んでいる。
 一方で、現場では医師の判断も尊重しなければならないのも事実。別府院長は「私自身医者だから、彼らの立場も分かる。だから、そんなにきつく言えないんですよ」と明かす。
 背水の陣を敷く形で最近、保険会社がPACOTEを導入し始めた。これは一つの病気治療や検査に対して、予め値段が設定されているもの。病院にとっては、不利な契約だ。
 「例えば三日の入院で済むところを何らかの問題が発生して、二十日に伸びたら差額は病院がかぶることになる」(別府院長)。
 人件費や光熱費は流動的だから、手術一件にかかる費用も厳密に特定できないという。このような状況を踏まえて、友好病院は職員の勤務状況などを見直すなど運営の合理化を進めていく方針だ。
 実は二〇〇〇年に、コンサルタントと契約。人事を中心にした運営を査定してもらったところ、給与体系の歪みなどが指摘された。
 「職員数が多すぎるのではないか」(尾西貞夫第一副会長=当時病院担当=)との意図からだった。その後人事問題に、組織として、特に手を加えたわけではない。
 菊地義治第四副会長によれば、超過勤務を一時間すれば、その時間の手当ては二倍になっている。四時間働けば八倍になる計算だ。残業が必要か否かのチェックを厳格にしていく。
 と同時に、テレビ・カメラの導入などで、警備体制を合理化していくことも視野に入っているという。
 菊地第四副会長は「残業をするには、部長の許可がいり、部長も職場に残らなければならない。部長の手当てはありません」と力を込めて語る。大きな目標は残業ゼロのようだ。(古)

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