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日系人の定住審査強化へ=法務省=広島女児殺害事件受け=犯歴証明提出を義務づけ=在日コミュニティにも影響か

2006年3月29日(水)

 日本に暮らす日系人に対する在留資格審査が来月から強化される。日系三世などに出される「定住者」資格の更新の際に、本国での犯罪歴がないことを証明する書類を義務付けるもので、日本国内での犯罪歴も審査の対象となる。「犯歴」があるとされた場合、原則として更新は認められなくなる。日本の報道によれば、道路交通法違反の罰金以外は「犯歴」となる見通しだ。改正告示の施行は四月二十九日。デカセギから定住へと移りつつある在日ブラジル人社会にも影響を与えそうだ。
 在留資格の審査強化は、昨年十一月に広島市で起きた小学生女児殺害事件を受けて法務省が検討してきたもの。逮捕された在日ペルー人容疑者が、偽名を使って定住許可を受けていたことから、十二月に同省が審査厳格化の方針を打ち出していた。
 同省は二十九日付けで、定住者の認定基準を定めた法務省告示を改正。改正後は認定基準に「素行善良」の要件が追加された。
 改正告示の施行は四月二十九日。施行後は、定住資格の更新申請の際に、本国の公的機関が発行した犯罪歴のないことを証明する書類の提出を義務付け。日本国内での犯罪歴も対象となる。最長三年の在留期間を更新する際に「犯歴」があると認められた場合、原則として更新が認められなくなる。
 どのようなものが「犯歴」とされるのか。中日新聞が入国管理局の話として伝えるところでは、「懲役、禁固、罰金に処された者はアウト。ただ、道交法(道路交通法)違反の罰金刑については対象外となる」という。
 日本国内で定住者の資格を持つ外国人は、〇四年末で約二十五万人。ブラジル人はそのうち十四万人に上るほか、南米出身者が全体の七割を占めている。今のところ、二世に与えられる「日本人の配偶者等」資格に関しては言及されていない。
 今回の改正は今のところ日本国内での話にとどまっているが、ブラジルからのビザ申請時にも適用されるのか。
 年間約二万五千件の特定査証申請を受け付けるサンパウロ総領事館では、現時点では本省からの通知は来ていないとコメント。「(通知が)来た場合は対応していく」としている。

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