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記者の眼■―――「棚上げ」も視野に=決定から丸2年の成果は

2006年4月5日(水)

 今回、記念事業を後回しにして、祭典を最優先にすることが申し合わされたが、「臭いものにフタ」になっていないだろうか。いずれ、財務委員会を立ち上げる時、最大の困難となるのは総額百二十億円の〃夢〃をどう会計に組み入れるか、だ。
 「後回し」でなく、いっそのこと「棚上げ」したほうが良かったのではないか。今まで約百二十億円もの大金を集金する困難さから、財務委員へのなり手がなく、結果的に、式典や他事業へ悪影響が広まっていることが懸念されていた。
 その大金は日本政府が〃打ち出の小槌〃を振って出してくれる、との幻像が信じられていた節がある。日伯総合センター(総予算四千百万ドル)、ノロエステ地方文化センター(一千万ドル)、新アルモニア学園(六百万ドル)、サンタクルース病院拡張(四千五百万ドル)。総額は一億六百万ドル(約百二十億円)。
 「百周年なら」という合言葉がまことしやかに語られ、過剰な期待感を醸成させていたとは言えないか。
 「後回し」では会計的に依然、〃夢〃の百二十億円が重くのしかかる。いっそのこと「棚上げ」して会計から外せば、身軽な状態で財務委員会を組める。
 この四事業を決めたのは〇四年四月三日の臨時総会だった。同総会の開催を報じる本紙記事(〇四年三月十六日)には「日本側からの大きな資金協力が欠かせないとの認識から、日本の会計年度末である三月、もしくは、ぎりぎり調整可能な四月をめどに、臨時総会の日程調整が進められていた」とある。
 それから丸二年が過ぎた。その間、どれだけ資金が集まり、計画が進展したのか。
 二十五日の第二回執行委員会。本番までたった二年となった。「いつまで理想を追うのか」と言われそうな時期だ。そろそろ、現実的な判断が求められている。
         (深)

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