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あとは大統領の決断=デジタルTV=独自の日伯方式開発か=小泉首相ガッチリ手を組む

2006年4月14日(金)

 【既報関連】デジタルTV方式選定に関して、アモリン外相ら三閣僚が訪日して小泉純一郎首相らと十二日に会談した件で、日伯外相は翌十三日に「地上デジタル放送に関する日本の協力を盛り込んだ覚書に調印した」と時事通信は報じた。日本方式を採用した場合、政府は技術移転や人材育成などの協力をする。
 エスタード紙は「日本方式はルーラ大統領のサイン待ち」との大見出しで、三閣僚が小泉首相とガッチリ手を組んでいる様子を掲載した。ブラジル政府は日本、欧州、米国の三方式から選考中だ。
 時事通信によれば、アモリン外相は「研究の結果、日本方式が最も適している」としながらも、「政治的、政策的な決断をする必要がある」と語った。欧州勢からの強烈な巻き返しにより、決断発表が遅れており、あと一押しを求めて訪日した現状を説明した。
 「きてよかった。大変すばらしい」。コスタ通信相は同紙に語った。「大統領が安全だと感じれば、もう決断できる」とし、日本での交渉が満足いくものであった事を強調した。
 同紙によれば、竹中平蔵総務相は、両国技術を合わせた「日伯方式」を標準化する可能性に論及したという。アモリン外相もAFP通信に対して、「日本方式が選ばれた場合、それをベースにした独自のシステム〃日伯方式〃となるだろう」と語った。
 フルラン開発相も「デジタルTV作業部会は半導体工場設置を確実にするような税制優遇策を検討する準備がある」と語った。
 同紙のなかで明らかにされた交渉内容は、日本政府は国際協力銀行(JBIC)を通じて資金融資すること。ただし、ブラジル政府が当初期待していた二十~五十億ドル規模の大規模な投資ではなく、四~七億ドルになりそう。十三日、使節団一行は東芝、NEC、SONYを視察。コスタ通信相は「特に東芝が半導体工場に積極的だ」とコメントした。
 連日この件を報道しているエスタード紙は、大統領はコスタ通信相の日本滞在延期を許可したと報じた。最長で十七日までいられることになり、その間にさらに交渉を詰める。
 ロイターは「ブラジルの専門家たちは欧州方式の方が安くつき、適当だと指摘しているが、選挙の年だけに政府はメディアを怒らせるリスクは負いたくないだろう」との記事を配信した。
 AFP通信は、アモリン外相は「まだ最終決定ではないが、日本方式はほんのわずかだが、もっと魅力的だ」と語ったと伝えた。
 閣僚らは今回の覚書が、日本方式決定を意味するものではないとし、「最終決定はブラジルで行われる」と強調した。

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