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新会長に松尾氏を選出=県連総会=高橋陣営力およばず=世代交代すすむ連合会=昨年度決算は棚上げ

2006年4月25日(火)

 ブラジル日本都道府県人会の二〇〇六年定期総会が二十日、宮城県人会館で開かれた。中沢宏一会長の退任を受け初めての複数シャッパによる投票となった執行部選挙は、投票の結果、二十八対十九票(白票一)で松尾治・福岡県人会長を連合会長とする新役員を選出した。一方で、昨年のフェスティバル収支報告を含む〇五年の決算報告は、監査役から専門家による監査の必要性を指摘する意見が出され、承認は事実上棚上げされた。新執行部は二世の県人会長が約半数を占める。昨年度フェスティバル・ド・ジャポンの収支報告に端を発した反執行部の動きは、県連の世代交代を進める結果となった。
 総会には、四十四県人会の代表をはじめ、顧問、相談役など六十人以上が出席。会長選挙への関心の高さをうかがわせた。
 今期で退任する中沢会長は冒頭のあいさつで「今年七月の県連創立四十周年記念式典とフェスティバル・ド・ジャポン、〇八年の日本移民百周年に向け、県連がコロニアを代表する機関として発展することを祈ります」と述べた。
 議長には執行部の推薦により、東京都友会の坂和三郎会長を選出。総会は冒頭から〇五年の決算報告をめぐって紛糾した。
 執行部が発表した昨年度決算は、収入一〇万四九四八・六〇レアルに対し支出が一四万六〇七一・五九レアルで、四万レアル以上の赤字を計上。この数字について監査役は、各月ごとの不明な点が明らかになっていないとして、専門家による監査が必要との認識を示した。
 この日は、未承認が続く昨年度フェスティバルの収支報告も示されたが、執行部の責任が明確になっていないとして、監査役が専門家による監査を提案。〇五年決算と合わせて承認が持ち越される異常事態となった。
 これに対して出席者からは、新執行部に移行する前に前年の決算を終らせるべきとする提案も出されたが、議長の提案により、専門家の監査の結果を待って対応することが承認された。
 ただし、この日の総会では、保留された昨年度決算について、どの専門家に依頼するのか、旧執行部・監査役が対応するのか、次期執行部・監査役が対応するのかなど、具体的な方針については踏み込まれなかった。
 〇六年の予算案では、収入一八万七四〇〇レアルを計上。このうち、フェスティバルで八万レアルの収入を見込んでいることに対して出席者から見通しの甘さを指摘する声が上がったが、最終的には事業案とともに拍手で承認された。
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 県連史上初めてとなった、複数シャッパによる執行部選挙。昨年の第八回フェスティバル・ド・ジャポンの収支報告をきっかけに拡大した反執行部の動きが、連合会を二分する争いにつながった。
 中沢会長の退任を受けて、反執行部派は監査役の大西博巳氏(広島会長)、吉加江ネルソン県連相談役(宮崎名誉会長)らを中心に松尾治氏を会長候補とするシャッパ作りに着手。対する執行部側からは高橋一水・高知会長(県連副会長)が会長候補に浮上した。両者によるシャッパ統一の話し合いも不調に終わっていた。
 投票は、四十四県人会の代表と四人の顧問により、無記名で実施され、二十八対十九票(白票一)で松尾治・福岡会長を連合会長とするシャッパが選出された。小森廣選挙管理委員長が結果を発表した後、松尾氏は周囲の人たちと笑顔で握手を交わしていた。
 新執行部は、役員の半数を二世会長が占める。これまでの県連の歴史の中ではじめてのことだ。
 二年前の総会で吉加江現相談役が対抗シャッパ提出をめざして以来続いてきた県連内部の対立。昨年度フェスティバルの会計問題を機に噴出した反執行部の動きは、結果的に県連の世代交代を進めることになった。
 今年のフェスティバルまで三カ月を切った。県連創立四十周年式典の準備も進んでいない。第八回フェスティバルの会計問題、〇五年決算報告の解決も棚上げされたまま。松尾体制は種々の課題を背負っての船出となる。
 投票結果の発表後、松尾氏をはじめ新執行部の役員が会場前方に並んだ。マイクを取った松尾会長は、公約として「ガラス張りの運営」「話し合いながらの運営」を挙げる。
 差し迫った今年のフェスティバルについて「私たちの力だけではできないこと」と語る松尾会長。各県人会長へ協力を呼びかけるとともに、「県連が何をしないといけないのか、何のためにあるのかを考えながら、各県人会のためになることをやっていきたい」と決意を述べた。
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 総会では、正監事一名と補充監事三名の選挙も行なわれ、正監事に根岸健三(岡山)氏、補充監事に坂和三郎(東京)、高野隼士(山梨)、鈴木康夫(茨城)の三氏を選出した。正監事の残り二名は、昨年の補充監事から山田康夫(滋賀)、志田茂夫(福井)の二氏が就任した。

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