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「移民の歴史を知ろう」=旧神戸移住センターで「移民祭」=「渡伯同胞送別の歌」歌う=中平マリコさんも登場

2006年5月4日(木)

 【神戸発=南部さやか通信員】日系三、四世が中心となって活動している関西ブラジル人コミュニティ(CBK、松原マリナ代表)主催の「移民祭」が、去る四月二十二日から二十九日にかけて旧神戸移住センターで開催された。今年で三回目。最終日にあたる二十九日は、今年で三回目の南米公演準備を進める歌手の中平マリコさんが登場。『渡伯同胞送別の歌』を、かつてのブラジル移住の出発点でもある同センターで来場者とともに合唱した。
 同祭は一九〇八年四月二十八日、ブラジルへの移民が初めて神戸を出港した日にちなみ企画されたもの。
 この日は、日本へのメッセージ、移民体験などを語った一世のビデオレターを鑑賞。名古屋にある日系ブラジル人支援コミュニティN・pocket作成の「私のルーツ・私の希望」をはじめ、国際的なビデオコンテスト「東京ビデオフェスティバル」で、ことし優秀作品賞に選出された「レモン」も公開された。松原ルマさん(15=神戸市長田区)が一年半かけて作成したもの。「私は何人?」という戸惑いをレモンを通じて表現している。
 小川守正・甲南病院理事長(82)による「ブラジル移民の歴史」と題した講演も行われた。日本人がブラジルに渡ったいきさつ、移民の貢献などを説明。「ブラジル移民は蒼氓の民に非ず、創望の人なり」とし「移民は日本最大のロマンであったということを、改めて日本の皆さんに認識して欲しい」と語りかけた。
 「移住者が旅立った神戸で歌うことができてよかった」と感激を表す中平マリコさん。『ふるさと』も披露し、来場者の涙を誘った。「日本が忘れている心を日本に根付かせて欲しい」。『渡伯同胞送別の歌』は今年のブラジル公演でも歌うという。今月、十三日からのパラグアイ公演を皮切りに南米をまわる予定だ。ブラジル公演は移民の日と重なる六月に行う。
 二世の松原マリナ代表は「中平さんの歌を聞いて両親のことを思い出して感動した」と声を詰まらせる場面も。「移民の歴史を知ることは、私たち日系人を知ることにもなる。日本の歴史の中で忘れてはいけない」と強調した。
 約百人が集う盛況。関係者は、移民百周年にあたる二〇〇八年まで毎年開催していきたいと意気込んでいた。

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