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「鳥肌たち、泣きそうに」=日本柔道選手団が会見=道着から昔の苦労を偲び

2006年5月11日(木)

 「昔の柔道着の展示を見て、鳥肌がたち、泣きそうになりました」。十日に記者会見した日本柔道選手団の斎藤仁監督は、移民史料館を視察した感動を、そう語った。そのような日本移民の努力が実を結び、現在のブラジル柔道界の隆盛に繋がっている様子や、選手団が練習をしている柔道オリンピック・アレーナ(通称〃南米講道館〃)が日伯両政府の協力で作られたことをたたえた。
 八日に到着した日本選手団約二十人は十日午前、記者会見した。
 斎藤監督は前日に視察した移民史料館の展示の感想を熱く語った。「あらためて日系人の方々が大変苦労をなさってきたのだと実感しました。その展示の中で最も感銘を受けたことは、昔の柔道着、剣道着が置いてあったことです。これには正直鳥肌が立ちました。ほんと泣きそうになりました。そして私は手を合わせました」。
 さらに「移住した方々は、貧しい時でも、自分達の私財を投げ打って立派な学校を後世のために造りました。この学校で学問のみならず、同時に柔道や剣道といった『日本の伝統文化の道・心』というものを一緒に教えていました。これは柔道を志す我々とって、ものすごく感銘を受けたことです」と思い返す。
 自らを振り返り、「もっともっと自分は柔道を生きがいに感じて、使命感をもって、日々努力しなくてはいけないな、そしてまだまだ甘いなと感じました」とのべた。
 会場となったアレーナは、全伯講道館柔道有段者会(岡野脩平会長)が中心となり、日伯両政府の尽力によって完成したばかり。
 監督は道場をぐるっと見回し、「日本の柔道の教え、柔道の心をブラジルの方に広めようと努力してきた先人の方々の努力と想いがこの〃南米の講道館〃の設立へ、また日伯の一流柔道家の交流へとつながったのだと思います」としみじみかたった。「柔道を広よめようとしてこの地で亡くなった先人の方々の魂こそが、今この日を最も喜んでいるのでしょう」。
 来伯前にNHKドラマ『ハルとナツ』を見た持田達人コーチも史料館をみた。「家族を連れて、また来たい。友好関係を深めて、絆を大切にしたい」と感動さめやらない様子。
 八九年ベオグラード世界選手権で金メダルを獲得した経歴をもつ持田コーチ。「ブラジル人の中で親日家が多いのは、先人の方々が謙虚さをもって努力をしてきた結果でしょう。これは日本人としてとてもうれしいです」と国際的な感覚から賞賛する。
 「これからも柔道というスポーツを通じて、日伯の交流を深め、そしてその絆をこれからも是非大事にしていきたいですね」と力強くコメントした。
 日本が誇る十五人の精鋭の一人、昨年のカイロ世界選手権で金メダルをとった鈴木柱治選手も「柔道を通じて交流が広がっていくことはいいことです」と喜ぶ。「ぜひみなさんに興味を持っていただき試合を見てほしい」と呼びかけた。
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 今後の予定は十一日午前午前十時~十一時十五分(公開練習)。午後一時から、イビラプエラ公園内の日本移民開拓先没者慰霊碑に参拝。午後六時~八時三十分(練習)。十二日も午前同時間(練習)。午後パラナ州マリンガ市へ出発。十三日の午前九時から十一時まで、ブラジル代表選手団との記念国際試合(Ginasio de Esportes Chico Neto)。午後飛行機でリオ市へ。十三~十九日はリオで練習。

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