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日本知る=『現代日本事典』(ポ語)=総合事典発刊へ=基金から資金助成決まる=執筆陣今年中に選定=08年3月=書籍ビエンナーレ出品を

2006年5月12日(金)

 昨年『現代ブラジル事典』(日本語)が刊行されたが、百周年に向けて、その姉妹編ともいえる『現代日本事典』(ポ語)が出版されることになり、このたび国際交流基金からの資金助成が決まった。かつてこのような事典はなく、ブラジル側から百周年を祝う「伯日交流年」事業にふさわしい企画といえそうだ。
 日本に関して幅広い情報を簡便に調べられ、内容も正確で、学術的にも基礎的な知識として十分に役立つようなポ語事典を目指している。ブラジル日本商工会議所が日本で出版した日本語『現代ブラジル事典』(新評論、五百頁、〇五年)と対をなす。
 企画書によれば、各頁二段組で五百頁の本格的な事典になる。「日伯双方のアカデミズムのレベルを示すとともに、二十一世紀の両国関係を裏打ちする科学的な基盤となりうる重要な事業」と位置付けられている。
 企画代表者はサンパウロ大学(USP)の平野セイジ文化担当副学長。担当責任者の森幸一USP文学部教授は「基金の助成が決まり、本格的に動きだすことになりました」と嬉しそうに報告した。
 まずは実施検討委員会がブラジル側五人、日本側二人から構成される。同委員会が今年中に情報収集や五百項目におよぶ解説テーマや執筆陣の選定を行い、来年書いてもらい、〇八年三月ごろにサンパウロ市で行われる書籍ビエンナーレで正式に出版する運びだ。
 執筆陣の大半はブラジル側のUSP哲学・文学・人間科学部や日本に関心のある研究者が中心になり、日本側は堀坂浩太郎上智大学教授、小池洋一拓殖大学教授らが協力する。
 主な内容は日本の国土、自然、動植物、気候。日本の現代史、年表。政治制度、地方、都道府県、外交、ODA。経済システム、金融、政策。産業や企業活動一般。社会制度や家族、教育、医療、宗教。文化、美術、建築、映画、スポーツ、民俗芸能。環境問題。法制度や憲法、移住や日系社会など多岐にわたる。
 加えて、執筆のために副次的に集まるポ語の膨大な資料を、なんらかのデータベースや図書館などの形で公開することも検討している。
 百周年にむけて、さまざまな分野で交流がもりあがる兆しを見せている今、対日理解の情報面から足固めをする企画となりそうだ。

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