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デカセギ集住地の議員が連携=在日ブラジル人集住地域関係議員懇話会=帰伯逃亡問題を優先協議=昨年末で30万人の大台に

2006年6月10日(土)

 【既報関連】在日ブラジル人が昨年末で三十万人を突破し、存在感を増すにつれ問題も顕在化している。移民百周年に向けて日伯間の友好と相互理解、日本での共生を促進するとともに、帰伯逃亡デカセギ問題を優先的に協議するため、日本の国会議員による「在日ブラジル人集住地域関係議員懇話会」(仮称)が五月三十一日に設立された。政党レベルでデカセギ対策の懇話会が発足するのは異例で、それだけ、最近のデカセギ犯罪に対する日本社会の厳しい視線を反映しているようだ。
 十九人の国会議員が呼びかけ人となり、「在日ブラジル人集住地域議員懇話会(仮称)」が五月三十一日に発足した。ブラジル人が一万人以上住む十県の自民党議員に対して呼びかけて設立されたもので、優先的に取り上げる議題は「帰伯逃亡デカセギ問題」と明記されており、両国当局間の捜査協力の促進、両国間の犯罪人引渡し条約の締結促進なども入る。
 中部・東海地方を中心とした静岡県、愛知県、三重県、長野県、岐阜県などのブラジル人登録者数が一万人を超える十県の関係議員に入会案内が送付された。
 呼びかけ人は次の十九人。衆議院議員の梶山弘志(茨城)、佐田玄一郎(群馬)、今井宏(埼玉)、小島敏男(埼玉)、松本純(神奈川)、田中和徳(神奈川)、後藤茂之(長野)、宮下一郎(長野)、棚橋 泰文(岐阜)、望月義夫(静岡)、片山さつき(静岡)、塩谷立(静岡)、木村隆秀(愛知)、山本明彦(愛知)、田村憲久(三重)、三ツ矢憲生(三重)、宇野治(近畿ブロック)。加えて、参議院議員の小林ゆたか(神奈川)、鈴木政二(愛知)ら二人(敬称略)。
 また同設立趣意書には、在日ブラジル人は、外国人のなかでも韓国・朝鮮人に次ぐ規模で、「我が国経済の活性化に貢献しているほか、両国間の友好と相互理解に重要な役割を果たしています」と一定の評価超過をしつつ、「同時に、在日ブラジル人の集住地域において社会保障、教育問題、犯罪など様々な課題が表面化している」と問題提起している。
 法務省入国管理局が五月に発表した外国人登録者統計によれば、昨年末現在で日本に暮らすブラジル国籍者の数は三十万二千八十人。十年前の一九九六年に約二十万人だった在日ブラジル人社会が初めて三十万人を突破した。外国人全体でみても、ブラジル国籍者は今年も在日外国人全体の三番目、約一五%を占めた。
 都道府県別に見ても、他県と比べ、愛知、静岡両県でそれぞれ前年比八%、六%増加しており、今回の議員談話会が組織された中部・東海地方へのブラジル人の集中傾向をうかがわせる結果となっている。

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