山口道夫

2006年6月30日(金)

 首都ブラジリア市日系コロニアの長老的存在である山口道夫(やまぐち・みちお)氏が二十日早朝、ブラジリアのウニメジ病院で死去した。享年九四歳。告別式は同日午後、ブラジリアのカンポ・デ・エスペランサ墓地において執り行われ、友人知人多数が見守る中で埋葬された。
 群馬県邑楽郡出身。慶応大学卒業後、一九三三年に渡伯、サンパウロ市郊外のスザノ、イタケーラの植民地、その後ゴイアス州アナポリス市に移転して農業に従事した。
 七五年にブラジリアへ移転、伯外務省外交官養成所リオ・ブランコ学院に日本語教師として勤務し、多くのブラジル外交官に日本語を教えた。
 八〇年に設立された伯日交流協会にリーダーとして創立に参画、同協会が主宰する日本語学校「みどり学園」創設に貢献し、同学園校長を十年間にわたり歴任するなど、同地における日本語教育の草分け的存在であった。その後「みどり学園」は現在の「ブラジリア日語モデル校」の開設に伴い合併、発展的解消した。
 同モデル校に隣接する学生寮の建設にも奔走し献身的な貢献をなした。それらの功績により伯外務省からリオブランコ勲章、日本政府から勲五等双光旭日章を受章している。
 晩年は体の状態が許す限り、趣味の俳句や小説等を書いて思索の時間を過ごす、最後まで学究の徒であった。
   (ブラジリア支局)

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