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日語教師認定書授与へ=センターが発行=地位やプロ意識向上狙う=能力、経験などを評価=22日、まずおよそ100人に

2006年7月6日(木)

 ブラジル日本語センター(谷広海理事長)は、一定の技術を習得している日本語教師に対して、日本語教師認定証を発行することを決めた。「日本語教師の社会的地位向上や、教師自身のプロ意識、誇りにつながれば」と谷理事長。認定証授与式を二十二日、同センターで開催する。
 今回、認定証の授与対象者は二百五十六人(六月二十九日現在)。高齢であることやブラジルの教職資格を持っていることから辞退する教師もいるが、大半の人が認定証を必要としている。
 認定のための条件は、日本語能力試験二級以上の合格、同センターの養成講座を修了していることや日本での研修の受講、長期にわたり日本語教育に携わってきたことなど様々あり、日本語の能力に加えて、これまでの教職経験も評価する内容となっている。
 従来からブラジルにおける日本語教師の多くは、日本語教師としての公的な資格(ブラジルの大学で日本語学科、教職課程を修了し、大学が認める特別課程を終えること)を持っていない。そのため教師の質の保証や、社会的地位は不安定になりがちで、教職者としての一定の資格を作ることの必要性がいわれてきた。
 〇四年にJICA、日系人協会制度促進チームが来聖。同センターと共同で、ブラジルにおける教師養成、研修、教師レベルの向上を図るとともに、教師認定制度を立ち上げることになった。
 それを受け同年、六百人強分の教師個別データを登録。経歴や研修歴を把握した上で認定制度の枠組みを作成した。学校訪問、教師会参加などを通じて、賛同や制度確立の要望を固め、認定証授与までこぎつけた。
 「ずっと(必要性が)いわれてきたこと。ようやく一歩踏み出すことができた」とセンター事務局長の丹羽義和さんは嬉しそうに話す。「教師レベルの底上げとモチベーションの増加に資して、社会的に広く認識されるようになればいい」。
 日本語文化がブラジル社会に浸透するにつれて、これまでほとんどが日系人で占められていた学習者や教育機関は変化した。また、世代交代によっても日本語教育のあり方が変わりつつある。
 「教える側と教わる側の変化もあって、生徒や学校が先生をどう選ぶかという基準がなかった」。教師であるという第三者からの評価が必要だった。「この認定を教師雇用の際の、キャリアの一つに」という。
 谷理事長は「これから認知度を上げ、『日本語を教えるためにはこの資格が必要』と思われるようなものにしていきたい」と話す。 二十二日の授与式では約百人に認定証が授与される。来年一月にも授与式を開き、毎年認定を行っていく。

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