2006年7月14日(金)
「誰も使わないスペースに作品作りのヒントがある」と語るのは日系アーティストの藤本セザールさん(24)だ。当たり前と思えるものに問いかけを与え、芸術作品として新しい命を吹き込むのが彼のスタイル。「発想の転換がキーワード」だ。
現在サンパウロ市文化センター(Rua Vergeiro 1000,Paraiso)で開催されている第二回作品展示プログラム(II mostra do programacao de exposicoes 2006)に、藤本さんの作品「SITU・CCSP06」が出展されている。
「初めて展示スペースを下見した時に、なぜか水道管がさりげなくあることに気が付いた」。藤本さんによれば、この水道管は展示会が開かれるたびに覆い隠されていたらしいが、「ここに光りをあてるべき」と発想を転換。「パッとアイディアが浮かびました」と話す。
地面から天井に延びる水道管に、赤レンガが長方形に積み立てられ、独特の存在感を醸しだす。使用されたレンガは千二百個。高さは二メートルだ。
「この高さがポイントなんです。これ以上高く積むとレンガが持つ『建物をつくる』という一般的なイメージが前面に表現されてしまうんですよ」
将来の夢は美術の教師だという。「今はたくさん勉強する時期。これからたくさん作品を作って世界で紹介できるようになりたい」――。そう話す若き日系アーティストの目は輝いている。
展示は来月六日まで。問い合わせは同センター(電話=11・3383・3452)まで。