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第3回海外日系文芸祭=受賞作品決まる=15カ国から千800点応募=大賞「金色の髪が春日に溶けこんでかき上げる指に光まつわる」

2006年9月9日付け

 海外日系新聞放送協会と海外日系人協会が主催する「第三回海外日系文芸祭」の選考が去る八月十日に行われ、今年の受賞作品が決定した。今回は短歌と俳句の二部門に世界十五カ国から約千八百点が応募され、春日井さおりさん(愛知県)の作品「金色の 髪が春日に 溶けこんで かき上げる指に 光まつわる」が短歌・俳句部門をあわせた海外日系文芸祭大賞に選ばれた。
 今年で三回目となる海外日系文芸祭。短歌と俳句の二部門に分かれ、「一般の部」「学生の部」でそれぞれ、「海外日系新聞放送協会賞」「海外日系人協会理事長賞」「JICA横浜所長賞」、後援の角川書店による賞のほか、「文芸祭賞」および入選作品が選考された。
 ブラジルからも多くの作品が応募され、俳句部門の海外日系新聞放送協会会長賞を吉野幸輔さんが、短歌部門の海外日系人協会理事長賞を波村ヨツノさんが受賞している。
 主な入賞作品は次の通り(カッコ内は応募国と氏名、敬称略)。
◎海外日系文芸祭大賞=「金色の 髪が春日に 溶けこんで かき上げる指に 光まつわる」(愛知県、春日井さおり)
【短歌部門・一般の部】
◎海外日系新聞放送協会会長賞=「額から流るる汗も絶好調『ソーラン節』を踊るカナダっ子」(カナダ、江藤加代子)
◎海外日系人協会理事長賞=「アマゾンの落日にもゆる夕茜郵便物もとどかぬところ」(ブラジル、波村ヨツノ)
◎JICA横浜所長賞=「おづおづと加州にはじめて着いた日も黄色に咲いてゐたねポピーよ」(アメリカ・ハワイ、マスグローヴ羊子)
◎角川「短歌」編集部賞=「父われを偲ぶよすがに子に残す自選歌百首のポ語訳了る」(ブラジル、藤田朝壽)
◎短歌研究社賞=「招かれて日本語教えNHKBS観てる地球の裏で」(パラグアイ、金集曻)
◎中部日本歌人会賞=「坂の上のカラオケジャパンへ行くと言ふ老女二人の水色日傘」(愛知県、水谷すみ子)
【短歌部門・学生の部】
◎海外日系新聞放送協会会長賞=「夕暮れに光差し込む教室の何も話さぬオレンジが好き」(千葉県、松丸捺恵)
◎海外日系人協会理事長賞=「潮さいが海の秘密をささやいてあの日の記憶よみがえってきた」(愛知県、板倉絵理)
◎JICA横浜所長賞=「海の音静かな声で話してくるまるでやさしい父のように」(愛知県、板倉憂宣)
◎中部日本歌人会賞=「青空にはばた翔く鳥の自由さよ塞翁馬の如くあれども」(愛知県、吉田生光)
【俳句部門・一般の部】
◎海外日系新聞放送協会会長賞=「炎天やバス停只の杭一本」(ブラジル、吉野幸輔)
◎海外日系人協会理事長賞=「トッケイの声くぐもって居待ち月」(インドネシア、戸田明彦)
◎JICA横浜所長賞=「かく深く来て万緑のほんの端」(新潟県、米山莞司)
◎国際俳句交流協会賞=「火の粉とぶ薪焚く汽車に乾季風」(ブラジル、中川千江子)
◎角川「俳句」編集部賞=「雲の峰くずれ大豆の畑千里」(ブラジル、猪俣靖子)
【俳句部門・学生の部】
◎海外日系新聞放送協会会長賞=「ある夜にスイカのたねの流星群」(愛知県、田中一樹)
◎海外日系人協会理事長賞=「宿題を紙ひこうきでとばすかな」(パラグアイ・ラパス日本語学校、谷知晃)
◎JICA横浜所長賞=「飛びこんだ歓声止まる水の中」(神奈川県、大川彩)

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