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「使いやすい」図書館に=文協図書館=JICAシニアの山本さん=35年の司書経験生かし

2006年9月20日付け

 札幌大学や酪農学園大学の付属図書館で司書を三十五年間務めてきた山本自子さん(60、北海道出身)がこの七月から、国際協力機構(JICA)の日系社会シニアボランティアとして日本文化協会・図書館に着任している。長年の経験を生かし、同図書館の整備・現地職員の指導を行う山本さんに現状と今後の計画について聞いた。
 五万冊の蔵書と約四千本のビデオが保有され、コロニア最大級を誇る文協図書館。だが、これまでは蔵書の整理が十分でなく、十分な機能を発揮していたとは言いがたいのが現状だ。
 山本さんは七月の着任後、同図書館の現状確認を行い、「タイトルでの分類や文学書が著者順に配架されていたために、分野が混在されていた」「移民関係図書が分散していた」「書架が十分に活用されていなかったため、大きめの図書が配架不可能だった」「寄贈された本が山積みになっていた」点など、早急に解決するべき点を先に片付けたという。
 なお、これらの作業によって出てきた重複した本は、書架から抜き取り次回の文協「古本市」に回す予定だ。
 同図書館には現在、所在する図書のデータがなく、検索ができない。貸出状況も不明で、利用者数や貸出冊などの日報を含めた統計類もないという。また、全図書にラベルを貼付されていないため、元に戻すのが困難なことなど、日本の図書館に比べると改善点も多い。
 こうした点について山本さんは、「検索プログラムの作成」「検索を可能にするための全図書のデータ―作成」「蔵書数の確認」「貸出プログラム、利用統計表の作成」といった解決策を挙げている。
 同図書館の現状に「正直、初めは驚いた」という山本さんだが、「自由に変えていいですよといわれ、自分なりにできるのでやりがいがある仕事です」と話す。
 配属予定期間は二年間。山本さんは、「蔵書検索ができて、本が分野別に一カ所に配架される。『この図書館にどんな本があって、どこに配架され、貸し出し可能か』の確認ができることを目標にやっていきたい。最終目標は、書名また著者の一部で探すことができるように、全図書のデータ入力を完了させること」と意気込みを語った。

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