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=最前線から
■連載(62)=青木由香=マウア文化体育協会(パラナ)=歴史資料収集のために

2006年10月5日(木)

 私の任地パラナ州のマウア・ダ・セーハは来年、日本人入植五十周年を迎える。地域の人々は記念祭に向け、話し合いや準備に余念がない。
 かくいう私も、出し物として婦人会の方々に、にわか仕込みのよさこいソーランを教えたり、マウア移住五十年史の校正を頼まれたりしている。
 このような記念事業に裏方として参加できるのは、非常に光栄なことだ。再来年の二〇〇八年には、百周年という一大イベントが控える。このような節目を機会に、改めて先駆者の労を労い、その足跡を振り返り、記録を残すとことは重要なことだと思う。
 本紙のリレーエッセイで、各地のJICAボランティアがそれぞれ地域の日系人にインタヴューを録ってまとめたらどうか、という提案が、バストスに派遣されている史料館学芸員の中村さんから上がった(九月二十一日付)。
 彼の言うとおり、歴史資料の収集は非常に意義のあることであると思うので、この提案が実行に移される段には、私もぜひとも協力したいと思う。
 しかし、ただ口で賛同するのと、実際に実行するのとでは、大きな開きがある。正直なところ、現状では実現が困難であろうと思う。というのも、私をはじめ、ほとんどのボランティアは、歴史資料の収集、特にインタヴューに関しては全くの素人である。
 技術云々の前に、その資料とやらが一体どのようなものなのか、ましてインタヴューにかかる時間と労力がどれほどのものなのかなど、全く見当がつかないのだ。
 ボランティアの多くは、各自の職種の業務を過密スケジュールでこなしているわけで、安易に参加の意志を示すことはできない。
 私の任地然り、『~移住史』や『~周年記念誌』を既に作成しているところは多い。そのような場所であっても、あえてインタヴューという形をとって資料を集めようとする意義、そして、私たちボランティアがインタヴューをとるということの意義を、まずは、はっきり示していただきたい。
 その上で、技術的なことや必要な時間と労力について、詳しく教えていただきたい。インタヴュアーとなる側が、インタヴューの意義や方法について理解していないことには、お話してくださる側にもお願いができない。
 どうせやるのなら、今後の歴史研究に資するようなデータを集めたい。そのためには、私たちに、この調査の意義の理解と、ある程度の知識と技術が必要だろう。まずは手始めに、宣伝と説明会を実施して、以上の点について説明し、広く意見を求めてみたらどうだろうか?        
   ◎   ◎    【職種】日本語教師   【出身地】富山県高岡市 【年齢】29歳
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