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カネボウから半世紀=KDB50周年祝う=来年から新社名一本で=「新たな出発点に」

2006年10月25日付け

 「今年末をもってカネボウ・ブランドの使用を停止します。次の五十年に向け、新しい歴史に挑戦していきます」。KDBフィアソン社(高橋総八郎社長=本社サンジョゼ・ドス・カンポス市)は二十日夜、サンパウロ市ベリーニ地区の最高級ホテルで創立五十周年式典を行い、約百三十人の顧客や協力企業代表者を前に、高らかに宣言した。
 この日のあいさつで、高橋社長は「顧客第一主義」と「五十周年は新たな出発点」との認識を強調し、来年からはKDBという新ブランド一本で勝負し、さらに発展するとの意気込みを語った。
 カネボウ・ド・ブラジルの継承会社であるKDB社の、昨年の売上高は七千万レアル、営業利益は一千万レアル(一四・五%)と好業績を納めた。今年は同利益が一八%に向上するなど、業界トップの収益を確保する健全経営ぶりをみせている。
 親会社である日本のカネボウは百二十年の歴史を誇る老舗名門紡績会社だったが、不正経理などの不祥事もあり、昨年繊維事業から撤退した。
 ブラジル子会社は昨年十二月にMBO(経営陣による企業買収)で独立し、高橋社長がオーナーとなった。徹底した合理化が実を結び、新会社は外部借入金ゼロの健全経営を達成している。
 今年末でカネボウ・ブランドの使用を辞め、来年からはKDBフィアソン社名のみとなる。従業員は六百五十人。綿糸が主力商品で、国内販売に力を入れている。
 この日は、本社を置くサンジョゼ市からもエドゥアルド・クリ市長が出席。「さらなる発展により、もっと雇用を拡大してくれることを期待している」と祝辞をおくった。ミナス州紡績シンジケートのアギナウド・ジニス会長も「外国勢との厳しい競争にさらされる紡績業界の中、KDBは改革を続けて利益を伸ばしてきた」と賞賛。記念プレートを高橋社長に贈った。
 続けて、西尾立彦副社長の音頭で乾杯し、バンド演奏などにぎやかに五十周年を祝った。ニッケイ新聞の取材に対し、同副社長は「今は作ったものがすべて売り切れている状態。国内のお客様との関係をもっと強めたい」との方針を示した。
 出席者は式典前に、世界的に有名なカナダのサーカスCirque du Soleilによる「SALTIMBANCO」を鑑賞した。

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