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ブラジルから4邦人受章=二〇〇六年度秋の叙勲で

2006年11月4日付け

 日本の内閣府は三日、平成十八年(二〇〇六年)度秋の叙勲受章者を発表した。ブラジル国内からは四人が邦人叙勲を受章。サンパウロ総領事館管内でブラジル沖縄文化センター理事長を務めた山城勇氏(77)が旭日双光章、第一アリアンサ文化体育協及びアリアンサ日伯文化体育協会の会長等を歴任した新津英三氏(91)が旭日単光章を受章したほか、レシフェ管内でサルヴァドール日伯文化協会元会長の清水九治氏(89)が旭日単光章を受章。クリチバ管内ではパラナ日伯文化連合会会長などを歴任した嶋田巧氏(73)が旭日双光章を受けた。
 サンパウロ州生まれの二世である嶋田氏はパラナ日文連の会長を八年、副会長職を十年間つとめたほか、パラナ日本語教育センターの建設やパラナ日本移民史料館の充実などにも尽力。パラナ老人福祉和順会の拡充にも増築建設副委員長及び評議委員会会長として貢献した。
 またアサイ文化連合会評議委員会会長として会員相互の親睦を広めた他、カビウーナ区日本人会会長として、同地の日本語教育の振興につとめた。
 嶋田氏はニッケイ新聞の取材に対し「まったく思いがけないもので私にはもったいないもの」と喜びの声。同教育センター建設当時の話に触れて「最近は四、五世での日本語がさびれてきた」と語った。
 同地ではお話大会などを毎年開催し、若い世代への日本語の伝承に力を入れている。今回の受章を契機に「彼らのような若い日系人を毎年五、六人は日本に行かせて、日本への関心を高めてもらいたい」と今後の目標を話していた。
 バイア州サルヴァドール市在住の清水氏は新潟県出身。戦時中を中国で過ごし、六〇年に同地のJK植民地へ入植。その中にあるイタペシリカ地区で日本人親睦会を発足させたほか、サルヴァドール日伯文化協会会長として、バイア日伯文化協会連合会の設立や同地の日本語学校の開校などに貢献した。
 ニッケイ新聞の取材に対しては「入植当初は日本で聞いた話とだいぶ違ったものでしたが、みんなでがんばりました」と往時を懐かしそうに振り返った。
 現在は市内に日本食レストランを経営するほか、日本人が少ない同地で日本文化の普及などにも取り組む。後日、同市からも名誉市民として表彰される運びだという。「これもみなさんのおかげです」と大きく喜びを噛みしめていた。
 沖縄県出身の山城氏は五八年にブラジルへ移住。沖縄産業開発青年隊の団結や相互扶助、同県出身者の自立促進などを目的とした在伯沖縄青年協会の結成を呼びかけ、会長として隊員の自立安定に長年にわたり尽力。
 またブラジル沖縄県人会会長として卓越した指導力を発揮、県人移住者の団結、生活安定に貢献した。
 受章にあたっては「私にはもったいないものです。これも皆さんの協力のおかげです」と第一声で話した。「生きている間にブラジルの先輩方から受け継いだ優れた精神文化を今後とも後世に伝えていきたい」と今後の目標を語った。
 新津氏は長野県の出身で三四年に第一アリアンサ移住地に入植。長年にわたり日本語教育の充実発展や移住者の生活改善や定住促進に貢献した。
 印象に残っていることは「文協の会長として六五、七〇、七五年のアリアンサ入植祭で長野県の知事をお迎えしたこと」。現在は同会の相談役として、アリアンサ入植八十年の記念誌の作成に関わっている。
 このほかブラジル国内からは外国人叙勲として、アマゾナス州農畜産連盟会長を務めるエウリペデス・フェライラ・リンスさん(80、マナウス市在住)が、移住日系人の福祉向上に寄与した功績により旭日双光章を受章している。
 受章者への伝達式の日時は後日、総領事館から発表される。

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