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ブラジルから11人が入賞=原君子さんが特選歌に=明治神宮秋の大祭

2006年11月11日付け

 十月末に行われた「明治神宮秋の大祭」の献詠歌の成績がわかった。六日、ブラジル側の結果を小池みさ子さんが連絡してきた。原君子さんの歌「干からびし蝉の骸に水欲りて逝きし原爆の死者連想す」が特選に選ばれたほか、末定いく子さんが入選、ほか九人の歌が佳作に選ばれた。
 明治神宮秋の大祭は、十一月一日の鎮座記念祭から明治天皇の誕生日である三日にかけて同神宮で開催される一大行事。それに先だち、十月一日からは多数の奉祝行事が執り行われる。
 特に三日の日には勅旨の参向を招き、毎年厳かに例祭が行われている。流鏑馬や合気道、十手術、薙刀術、砲術、鎖鎌術などの古武術が実演されるほか、第二鳥居前では「神田太鼓」「長崎獅子舞」「蕨音頭」などの郷土芸能が、東京各所の明治神宮崇敬者団体により披露。
 この日は多数の一般来場者が訪れ、日頃触れることの少ない日本の伝統文化をまとめて目の当たりにする良い機会となっている。
 短歌大会は同神宮内の参集殿で毎年十月の後半に開催されており、ブラジルからは愛好者による多数の献詠がなされている。
 ブラジルからの入選者は次の通り。
 ◇特選歌◇
干からびし蝉の骸に水欲りて逝きし原爆の死者連想す        原  君子
 ◇入選歌◇
婿殿は娘も食わせぬ鯖味噌煮「オイシカッタ」と日本語で言う    末定いく子
 ◇佳作◇
「また来る」と言いて別れしひと言をふと思い出す母の忌日に    青柳 ます
ドナーより臓器たまわり十年目吾子は青春と謳歌する日々      秋村蒼一郎
のどかなる牧場に草は萌えたちて牛群れのなか乳飲むも見ゆ     上田 幸音
日伯の人の混み合う食まつり「さぬきうどん」がふる里を呼ぶ     上妻泰子
歩み来し長き道程外国で金婚の宵指輪交わす             古賀ミツカ
何をしに着たか忘れて厨辺のすみれの小鉢に水をかけやる      崎山美知子
一歳の誕生祝いの男の孫に日の丸鉢巻き陣羽織着せ        武地 志津
十年と決めし更新間近なる吾が分身の赤きパスポート        西山 溥子
地球儀を回して孫が爺ちやんの祖国日本に口づけており       溝口ミツエ

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