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産業化する誘拐事件=総領事館で安全対策会議=サンパウロ市

2006年11月11日付け

 在サンパウロ日本国総領事館(西林万寿夫総領事)による海外邦人安全対策連絡協議会が、去る十月二十四日に同館内で開かれた。進出企業、日系団体関係者など約二十一人が参加。最近の治安状況の報告が行われたほか、対策案について意見を交換した。
 冒頭、西林総領事は「この上半期での最大の事件はPCC暴動だった」と切り出し、続いて、九月のGOL航空機墜落事故の際に、巻きこまれた邦人の有無の確認がうまくいかなかったことを例に上げ、「緊急時の連絡の一元化を考えたい」と話した。
 今年上半期の犯罪統計からは、六十四件の誘拐事件が起こっており、発生率の上昇が指摘された。清水俊昭警備担当領事は「水面下では数多く起きていて、身代金の値は当初要求の五%程度。基本的には長期戦になる」と話した。犯人は基本的に捕まらないと考え、粘り強くあせらずに交渉にのぞむことが肝要だという。
 PCCに関する事件については、クリスマスもあり予測はできない。清水領事によれば、警察は小グループを対象に麻薬組織の逮捕を進めており「大きな検挙はないが、PCCメンバーを少しずつ押さえているので大きな騒ぎにはならない」と返答しているそうだ。
 「誘拐が産業化してきている」と丸橋次郎首席領事。「自宅強盗を含め、使用人など身近な人からの情報が犯罪に結びつく」と指摘。女中が電話に出て家族の情報を漏らすこともあるという。
 女中を雇うときには、IDカードや住宅の証明書のコピーをとり、女中のいるところでは金銭に関わる話は控えるなどの対策案が上げられた。
 また協議会では、空港からの帰宅時、ゴルフ場周辺での強盗に加え、スザノやモジなど地方での事件増加が報告された。清水領事は、地域安全プロジェクトとしての交番制度の導入を一年半前から始めていることを紹介。参加者からは地域単位の「コミュニティーグループ」で対策を立てていく制度の検討が提案された。
 同領事は「警察に情報を与えるのはどうか、という考えもあるだろうが、犯罪の格付けを上げる、地域の治安悪化を訴えるためにも、犯罪に巻き込まれた場合には、必ず、警察で調書を取ってほしい」と話した。

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