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日語図書1千冊を寄贈=創業125周年の三省堂が=文協、国内各地の図書館に=「最新の日本知るきっかけに」

2006年11月15日付け

 日本の大手書籍販売業の株式会社三省堂書店(本社・東京都千代田区神田神保町一丁目一番地、亀井忠雄代表取締役社長)が今年創業百二十五周年を迎えたのを記念して、日本語図書一千冊をブラジル日本文化協会(上原幸啓会長)やブラジル各地の図書館などに寄贈するプロジェクトを進めている。文協が日本移民百周年の記念行事として検討している図書館整備の協力依頼に応え実現したもの。来年夏頃には新しい図書が図書館に届く予定だ。
 このプロジェクトは文協の図書館が所有する蔵書が古い点や、欠けている分野が多い現状を受けて、同協会が亀井社長に蔵書の整備、拡充の協力を依頼したのがきっかけ。
 同社長はこの依頼を受けて、事業の社会的意義と文化交流の重要性の観点から、自社の創業百二十五周年記念事業の一環として、その実現を推進することに決めた。
 亀井社長を中心に、ブラジル側では建築・不動産を手がけるマンクス社の小松幹彦社長、ニッケイ新聞社の高木ラウル社長、日本側ではビジネスコンサルティング翡翠(ひすい)社の岡本弘昭代表が協力。寄贈される一千冊のうち、六百冊は同協会図書館に納入され、残りは四十冊を一セットにして、ブラジル各地の図書館などに配られる。
 文協では図書の整備・拡大をブラジル日系社会への貢献、日本文化、日本語等の普及のための喫緊の課題と位置付け、二〇〇八年のブラジル日本移民百周年記念行事の一つとして図書館整備を検討していた。
 具体的な寄贈依頼は一般図書二十四分野のほか、最新版の辞典や辞書、法令法類に加えて新書や文庫など。同書店としても日本の出版関係者の協力を得て、できるだけこの意向に沿うように検討している。
 亀井社長は今回のプロジェクトを推進するにあたり「これを機に日本に縁のある日系の方々をはじめ、日本に興味のあるブラジルの方々に、日本語の本でもっともっと最新の日本の姿を知っていただくきっかけになり、少しでも日本とブラジル両国の文化交流にお役にたてればとても喜ばしい」と話している。
 なお、同プロジェクトはJICA(独立行政法人国際協力機構)のプログラムである「世界の笑顔のために」を活用して行われる予定。順調にいけば来年の夏頃に新しい図書がお目見えするという。
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 三省堂書店は一八八一年(明治一四年)、現在地に古籍業として創業。その後新刊書店・出版・印刷事業を展開。一九二九年(昭和四年)に千二百坪三階建ての本社屋を完成。「学生のデパート」として、書籍のほか、文具、学生服、化粧品、洋品、雑貨などを取り扱い、プレイガイドも設置。世界の語学レコード教材を各国から導入し、語学録音機材・機器のパイオニアとなる。その後、自由が丘店を皮切りに国内三十数店舗、十営業所、海外五店舗の支店を開設した。創業百周年の八一年(昭和五六年)には百万冊収用の本社ビル(神田本店)を竣工、今年は創業百二十五周年にあたる。
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【亀井社長プロフィール】
 一九四三年(昭和一八年)生まれ、六十三歳、東京都出身。慶応義塾大学経済学部を卒業し東洋パルプに入社。七〇年五月三省堂書店入社。常務取締役、専務取締役を経て九六年、代表取締役就任。財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)常務理事。

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