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アマゾン=群馬の森に不法占拠者侵入=〃無断進入禁止〃の看板も=「話し合いで解決する」

2006年11月18日付け

 アマゾン群馬の森にセンテット(通称「屋根なし」不法占拠者グループ)百五十家族が侵入――。今年八月に十周年を迎えたばかりの同森と隣接地の間(使用権は同森)に、一カ月ほどからキャンプを張る集団が現れたことが最近判明した。同森を運営する北伯群馬県人会の宇田川勇専務理事は、大きな問題との認識を示し、「話し合いによって穏やかに解決していく」と説明した。
 ニッケイ新聞の取材に対し同専務理事は、「不法侵入した一派は勝手に看板を掲げ、〃自分が地主〃だとか〃無断侵入禁止〃などと書いている者までいる」とブラックジョークのような状況を説明する。
 関係者が遊歩道を整備作業している際に偶然、侵入者グループを発見。下刈りを済ませ、中にはビニールシートで小屋を造っている者までいた。
 同森は州都ベレンから南に六十キロほどのサンタバルバラ郡にあり、面積は五百四十一ヘクタール。うち四百ヘクタールがアマゾン原生林となっている。昨年の愛知万博(愛・地球博)で「愛・地球賞」を受賞するなど、同森の「持続可能な開発」に関する技術普及や熱帯林保護を訴える環境教育は高い評価を得ている。
 岡島博会長は弁護士と共に十六日、サンタバルバラ郡長に会いに行き、今後の打開策を協議した。いたずらに警察によって排除しても再侵入されるおそれがあるため、基本的には話し合いによって穏やかに解決する方向となった。
 加えて今回の侵入は、隣のブラジル人女性の所有地との境界線付近で起きており、そちら側から使用権を主張する形で居座っている模様。
 同地周辺の地権証書にはおおざっぱな記載しかなく、最も地権があやふやな場所を突かれた格好だ。他の境界線は、購入時にブルドーザーで道をあけて一目瞭然になっていた。
 同県人会としては、まずは土地の測量をやり直した上で、郡長が仲介する形で双方が協議のテーブルに付き、話し合いによって解決する方針。宇田川専務理事は「州政府や連邦警察、環境警察と連絡を取り合いながら対処していく」と説明する。
 侵入者らは保護林の樹木を無断伐採しており、パラー州環境局(SECTAM)や国立自然環境保護院(IBAMA)も注視しているという。
 群馬の森では〇四年から、JICAとパラー州環境局(SECTAM)、ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)、エミリオ・グェルジ博物館(MPEG)らと共同で環境教育や森林保全プロジェクトを進めていたところだった。
 〇七年一月にそれが終了するの見越して、この部分はRPPN(私有地保護区)に申請を急いでいた矢先に侵入が判明した。プロジェクトの今後に大きな問題を生じる恐れがあるようだ。
 サンタバルバラ郡周辺には以前からセンテーラ(土地なし=不法占拠農民)のグループが侵入を繰り返しており、すでに火種はあったと関係者はみている。

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