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「自然に直る力引き出す」=体のバランス整える操体法=新潟の須永医師が講演実技

2006年11月29日付け

 東洋医学の要素を取り入れた健康法「操体法」の講演会が十八日、リベルダーデの日系パラセホテルで開かれた。整体士の小橋節子さんが企画したもので、この日は新潟県の「木戸クリニック」所長で来伯中の須永隆夫さんが操体法の基本的な考え方や動作を実演を交えながら説明、約百人が訪れ熱心に聞き入っていた。
 操体法は新潟県の医師、故・橋本敬三氏が体系化した健康法。肩こりや首の痛み、腰痛などの諸症状を人間の体の歪みから起こるものととらえ、体のバランスを整えることによって改善をめざす。さらに具合の悪い部分を事前に把握することで、予防の面でも効果を発揮するという。
 小橋さんは九八年に訪日して須永さんに操体法を学び、現在は新潟県人会で講習会を開いている。このたび、新潟県人会五十周年を機会に須永さんが来伯し、講演会の開催となった。
 須永さんは橋本氏に師事して操体法を学び、現在は「新潟操体の会」の世話役でもある。「人間には自然と直ろうとする力が備わっている」と述べ、体のバランスを整える条件として「食・息・動・想」の四点を挙げた。
 「食」は食事のバランス、「息」は呼吸の仕方、「動」は体の動かし方、そして「想」は心のもち方。この日は呼吸法と体の動作を中心に講演した。
 須永さんによれば、呼吸法のポイントは「吐く呼吸を中心にすること」。口から細く長く、ゆっくりと息を吐き、鼻から吸う。
 あお向けになって膝を立て、手は軽く下腹部に置く。この呼吸法を朝晩の起床・就寝時などに十回から十五回繰り返す。腹式呼吸によってゆったりした気分の時に働く副交感神経が働き、血の巡りを良くし、手足を温める効果があるという。
 「動」については、操体法の基本的な動作を、出席者も実際に体を動かしながら体験。須永さんは両手の水平上げ、足踏み運動や体を左右にひねる運動、また、あお向けになって立てひざを左右に倒す方法や、うつぶせで左右の膝を縮める動作などを紹介した。
 ポイントは「動かしやすい方を動かすこと」と「息を吐きながら動作を行うこと」だと須永さんはいう。また「無理をしないこと」「休み休み、六〇%を目標に」とも強調した。
 前述の呼吸法で息を吐きながら(または声を出して数を数えながら)、左右交互に動作を行い、それぞれの動作が一息ついたら体の力を抜いて元に戻す。そして、左右のうち動かしやすい方の動作を二、三回繰り返す。
 「人間の体は良くなるように設計されている」と話す須永さん。動かしやすい方を動かすことが「体が一番いい動きを見つける」ことにつながり、それまで動かしにくかった方も動かしやすくなるという。その日の参加者でも症状が和らいだという人もあった。
 この日の参加者は約百人。中には、実際の動作の間に熱心にメモを取る人の姿も見られた。

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