ホーム | 日系社会ニュース | 今年は山野優花さんに=〇六年度コロニア文芸賞

今年は山野優花さんに=〇六年度コロニア文芸賞

2006年10月12日付け

 ブラジル日本文化協会が主催する二〇〇六年度コロニア文芸賞は、山野優花さん(本名=中田みちよ)の『わたしの「クラシッキ」』に決定したと同選考委員会が十日に発表した。
 遠藤勇委員長によれば「文章がすばらしい」と全委員が一致したという。
 同作品は昨年日本で「第八回岡山・吉備の国 内田百閒文学賞」の随筆部門最優秀賞を受賞、今回はコロニアでと二冠に輝いた
 亡き娘(ユウコさん)がイタリア系の夫を自宅に連れてきたときの混乱や葛藤を通して、ブラジル社会への日本人移民の融合を描いた秀作。
 三月に日本で記念出版され、続いてブラジルでも日ポ両語版を作りわずか一カ月で六百冊を完売するなど好評だ。特に日本語学校の上級クラス用読本として売れている。日伯文化連盟で残部僅少を取り扱い中だ。
 受賞の報を聞き、「うれしいです」と中田さん。すでに次の作品(自分史)も書き上げ、ポ語に翻訳する準備をすすめ、来年には両語版として出版する予定。「これからは二世、三世の人にも読んでもらえるようポ語でも出さないと」。
 コロニア文芸賞への応募は十作品。力作ぞろいの中から同作のほか、『あしあと』(片山司蘭)、『限りなく遠かった出会い』(宮村秀光)、『蜂鳥』(富重かずま)、『ブラジル日系コロニア文芸・上巻』(清谷益次、栢野桂山)が第一選考で残っていた。
 九月二十六日に最終選考会がひらかれ、遠藤、栢野、渡辺、浜田四委員が出席。一人一回しか受賞できない等の規定を考慮した上、全員一致で同作品に決定した。十一月に授賞式が行われる。

image_print