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■ひとマチ点描■東山見守る大木

2006年11月29日付け

 東山農場には、周囲七メートルを越える大木がある。樹齢にして二百年以上。一七九八年、同地に最初の農場が開かれたときには「もうあったと思いますよ」と東山社長の岩崎透さん。
 実はその大木、昨年暮れの大晦日にゴッソリと根ごと倒れてしまった。幹中央にできていた穴に菌がつき、根が負けてしまったのだという。
 だが、そんな話は信じがたいほどに木は青々と枝を伸ばしている。地下を二メートル掘り、一メートルほど根の周りをコンクリートで固めて支えてあるという。「苔も枝もまだ生きているし、枯れるまでは大事にしていきたい」と、岩崎さんはそびえる大木を見上げた。
 重い枝を支えるために三つの丸太で添え木。折れてしまった枝も飾りとして使用し、農場に趣をそえる。「『世界最大の生け花』と言った人もいたよ」。
 倒れてからもうすぐ一年が経とうとしているその大木は、強い夏の日差しの中で、さわやかな木陰をつくっていた。   (稲)

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