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ゴミ拾う受験生の姿=日本語能力試験、サンパウロ市会場で――試験官の話「教師であることに誇り」=漸増だった申込み者数が減少

2006年12月14日付け

 日本語能力試験(国際交流基金主催)が、三日、ブラジル日本語センター(谷広海理事長)はじめ、ロンドリーナ、ベレン、リオ、ポルトアレグレ、ブラジリア、サルバドールの全伯七カ所で実施された。今年の申し込み者総数は三千百六十五人。二〇〇二年から毎年増えつづけていた応募者が、昨年に比べ約三百人も減少した。今年初めてサンパウロ会場で試験官を務めた日本語教師は「試験後の教室がきれいで、ゴミを拾う子の姿もあった。受験生のすばらしい態度を見ていると教師であることを誇りに思うし、これは日本語を勉強しているからだと思いたい」と、感激を伝えている。
 センターでは、申し込み者の減少について、申し込みの締め切りが従来よりも一週間早かったことと、受験料の値上げが要因と分析している。
 級別での申し込みは、一級が三百五十二人、二級が五百九十八人、三級が九百四十七人、四級が千二百六十八人。また、会場別で見ると、サンパウロで千八百九三人、ロンドリーナで五百四十四人、ベレンで八十三人、リオで二百六十二人、ポルトアレグレで百七人、ブラジリアで二百五人、サルバドールで七十一人が申し込んだ。
 ここ十八年間ほどの試験では、一九九〇年に最高の五千六百十四人が応募していたが、二〇〇〇年には二千八百六十六人で、最低人数を記録した。今年は、昨年の三千四百七十二人から約三百人も減少して、三千百六十五人となった。
 申し込み総数が減ったことについて、従来九月半ばが申し込みの締め切りだったのを、今年は一週間ほど早めた、九月九日だった。
 毎年、締め切り最終日に申し込みが殺到する傾向があり、締め切ってからも二、三日は問い合わせが続くが、今年は「独立記念日の連休と重なって旅行に出かけた人が多かったのもあってか、一週間経っても(問い合わせの)電話が続いた」という。
 また、前年に比べ各級一割程度の減少だったが、二級では一割以上が減ったことについて、同センター事務局長の丹羽義和さんは「二級は、三級とのレベルの差が大きいうえに、今年、二級と三級で値上げが行われたためではないか」と話した。
 丹羽さんは、サンパウロの試験会場の様子を「非日系が多いことに驚いた。級が下がるほど多い」。また「低学年、七、八歳の子が増えてきたように思う。小さいころから日本語教育を受けているのは、継承日本語という観点で考えると非常に喜ばしい」と話した。
 国内で、アニメや漫画、日本音楽の人気が広まっているのを背景に、日本語学習者は、近年増加傾向にあるという。
 現在、来年の試験会場として、マナウスを追加することが検討されており、国際交流基金では実現に向け、本部への働きかけを行っている。十日に西部アマゾン日伯文化協会が実施した、日本語能力模擬試験には、百三十三人が応募したという。
 今回の能力試験の合否は、来年二月下旬に発表される。

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