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■記者の眼■―――――百周年より忘年会?!

2006年12月16日付け

 ちょっと不思議な光景だった。百周年に関わるブラジル政府との重要な会議にもかかわらず、肝心な部分が抜けている気がしてならなかった。
 産業界を代表した発言が一つもなかったことか──と思い当たった。ブラジル日本商工会議所の田中信会頭自らが出席しながら、午後七時からの会議所忘年会に合わせたかのように、早々にいなくなった。
 日本側では、経団連が来年五月からの新任副会長の一人に三井物産の槍田松瑩社長を充てる方向で調整に入ったと毎日新聞が報じた。経団連日伯経済委員会の委員長をつとめる槍田氏は、今年七月に両国首脳への最終提言をまとめた日伯二十一世紀協議会の委員でもある。
 そして、一月に日本側実行委員会が設立される公算が高まっている。
 そんな機運の時に、ブラジル外務省が設定した場で消極的な態度でいるのは、進出・地元企業全体の意見を代表したものなのだろうか。
 百周年は日系社会だけのものではない。日伯両国間の交流を深めるものであり、当然ながら、めったにないビジネスチャンスでもある。
 進出企業の投資条件を改善するためのセミナー、経済交流を活性化するセミナーなど独自のアイデアをどんどん発表してもいい時期ではないか。
 その他、会議の中で気づいたのは、本来は日系社会内で調整されるべき内容が、ドゥンロッペ局長にそのまま持ち込まれるなど、混乱とまではいかないが、段取りの悪い場面も一部見られたことだ。
 また、百周年記念事業概要を説明する百二十八頁だて冊子が手渡され、「なんて段取りが良いの!」と局長は喜んだ。その光景を見て複雑な思いを憶えた。
 吉岡文化委員長は「日々内容は変わってきている」とは補足しつつも、中心たる箱モノ四事業が〃先送り〃の状況にあることは特に説明しなかったようだ。
 松尾執行委員長就任以降の変更や修正が反映されず、そのまま、首都にいったらどうなるのか…。巨額資金が動くだけに、両国ともに政争の具とならぬよう、不断の注意が今後必要になるだろう。(深)

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