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コラム 樹海

2006年12月29日付け

 今年の本紙発行はきょうがお仕舞いである。二百五十部ほどお届けした▼新聞づくりをしていて、いつも気にかかるのは、「読者はどのくらい、新聞の報道、記述を信じているだろうか」である。あなたたちが書いているのに、いい加減なことを言うな、とお叱りを受けるのは覚悟の上である。察してみて、一〇〇%信じてもらっている、などとはもちろん思っていない▼人は、お上(政府)とか、企業とか、マスコミを信じていないのである。ものごとをよく考える人こそそうである。信じられるのは、家族の言葉だ。尋常なら親が子にウソをつくなど考えられない▼社会部記者が取材をしてくる。記者は目に映ったことをそのとおり書く。記者にとっての真実だ。だが、読んだ読者は「記者はそう見たのか」と思いはしても「そうだろうか」「わたしはそう思わない」と疑い、素直に信じる気持にはならない▼記者が人のコメント(話)を取ってきて、それを活字にした場合は、もっと眉にツバがつく。なくもがな、なのだが、発言者がウソのコメントし、記者がそのままを記事にすれば、それは「あの人はそう言った」で通ってしまう。尤も、コメントのすべてを疑っていては、新聞を読めないだろう。記者にしても発言の取捨選択はする。それが仕事だからだ。真の情報を伝えようと努力している▼信じられない新聞でも、世の中の動きを知りたい、と人は読む。うんと頭の中や目を肥やして、来年も購読を続けていただきたい。(神)

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