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大耳小耳

2007年2月8日付け

 国外犯処罰の初公判を写真入りで報じたエスタード紙記事には、「ex-dekassegui」(元デカセギ)という職業とも身分ともいえない肩書きが使われていた。「日本に就労に行って戻ってきた日系人」という存在を一言であらわせて、一般人にも理解できる的確な表現として使ったに違いない。ポルトガル語としての「デカセギ」が、いかに一般社会へ浸透しているかを雄弁に物語る記事だ。
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 日本側メディアの報道をみて気になるのは「ブラジル人」とか「日系ブラジル人」とひとくくりにする表現か。桧垣被告は単なる一個人であって、ブラジルや日系社会を代表する肩書きを持つ人物ではない。あくまでも個人名を主体に報道してほしい。日本人もそうであるように、ブラジル人にも善人でないひとがいるというだけの話。でないと、相手国民全員のイメージに関わる表現になる。日伯両国民による非難合戦にしてはいけない。注目される日本の記事は、すぐに通信社によってポ語に翻訳されて紹介されるご時世だけに、無用な誤解は避けたいところだ。
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 六日行われた初の国外犯処罰裁判には日本だけでなく、ブラジルメディアも駆けつけた。日本国内で罪を犯した八十六人がブラジルに逃亡。日本にいる被害者家族もブラジル国内での盛り上がりに期待したいところだろう。在聖総領事館から某領事も裁判を傍聴、ブラジルのテレビ局から取材を受けたが「知らない。分からない」の一点張り。あげくに「なんでこんなに記者が集まってるんですか?」と質問に質問で答え、有名ブラジル人レポーターがあきれる始末。〃外交官〃の立場で、日本国の考え方をブラジル国民に丁寧に伝える絶好の機会だったと思うが…。

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