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「起訴には書類が不足」=浜松の店主強殺事件で=ミナス州検察庁

2007年2月17日付け

 〇五年十一月二十一日に静岡県浜松市で起きた日本人レストラン経営者殺害事件に関して、日本政府から国外犯処罰(代理処罰)の申請を受けたミナス・ジェライス州検察庁は十五日に声明を発表し、現段階ではウンベルト・ジョゼ・ハジメ・アウバレンガ容疑者を起訴するには書類が足りないとの認識を示した。ただし、書類さえ揃えば「二、三日で起訴できる」との自信も示した。
 静岡県警は、レストラン経営者の三上要さん=当時(57)=を絞殺し売上金約四万円を奪ったとの強盗殺人容疑で、ウンベルト・容疑者を指名手配。昨年二月に国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配した。帰伯逃亡した同容疑者は現在、ミナス州リオ・カスカ市で洗車場を営んでいるという。
 同声明によれば、昨年十二月十三日、日本政府高官の訪問を受けて懇談をした時に、この件にも触れた。担当検察官のジョアキン・ジョゼ・ミランダ・ジュニオール氏はすでに、日本の警察から届いた書類に目を通している。
 現場の状況を細かく示す写真をはじめ、たくさんの証言がとられているという。同声明では「日本の警察の仕事は素晴らしい」と誉めつつも、ミランダ検察官は「完璧な捜査結果が必要だ」と述べ、「他の書類が到着しないと起訴の判断はできない」と考えていることを明らかにした。
 静岡新聞の記事によれば、担当検事が求めているのは、死亡診断書や証人の調書、指紋などの証拠物。起訴に向けては「今のところ日本側が再捜査する必要はないと考えている」と話していると報じた。
 声明には「できるだけ早く書類を送付する根気強く熱心な日本政府側の取り組みと共に、ミナス州検察庁はしかるべき役割を果たす」と意気込みが記されている。
 容疑者の身柄拘束の必要性について、同検察官は『推定無罪の原則』(「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」という立証責任の考え方に基づいた近代刑事法の基本)に鑑み、その判断は「時期尚早」との認識を示した。
 この殺害事件は、先日第一回公判が行われた桧垣ミルトン容疑者の件に続き、日本から国外犯処罰を申請した二件目。

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