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役割、高い評価=イグアスー移住地=JICA総合農事試験場=学生にも機会提供=DIA DE CAMPO

2007年2月28日付け

 パラグアイのイグアスー移住地管内にあるJICA総合農事試験場(CETAPAR)で去る二月十五日、Dia・de・Campoが行われた。約五十名が参加、非日系の参加者が三分の一を占めた。大豆を中心にほ場の見学と説明が行われ、熱心な質疑応答で活気あふれる半日となった。
 この試験場はイグアスー移住地(一九六一年開設)に入植した日本人移住者の営農の安定を図ることを目的に、一九六二年に設立された。現在はパラグアイ東部地域における持続的な農業技術の普及を目標とした業務が実施されている。
 二〇一〇年三月にはパラグアイ日系農協中央会に移管されることが決まっており、〇五年から移管に向けた業務が進んでいる。
 イグアスー、ラパス、ピラポなどの日系移住地は揃って東部地域にあり、大豆が主要作物となっているため、Dia・de・Campoでは大豆を中心にほ場の見学と説明が行われた。
 説明の中核を担ったのは作物班班長の関節朗さん。試験ほ場にはパ国在来種、アルゼンチン種、ブラジル種が植えられている。
 ブラジル種ではEMBRAPA(国立農業研究院)とCOODETEC(パラナ州農協連合会から独立した組織)の二機関で育種された品種が試作されている。農家は三ヵ国の品種をそれぞれの選択で栽培しているが、ブラジル種がパラグアイ東部気候に適合しているようだ。
 近年は遺伝子組み替え品種が大勢となっているが、試験場が扱っている三十四系統のうち、六系統が非組み替えだ。非組み替え系統の中で最も知名度の高いのがAURORA(オーロラ)だ。パラグアイ在来品種登録第一号でもある。
 今年になって急速に注目されてきている系統が『TF99―1259』だ。まだ登録の前段階にあるが、試作大豆を日本に送って豆腐会社が加工したところ、豆腐の原料としてオーロラを越える適合性を示したことが判明した。
 オーロラの生みの親でもある専門家の古明地通孝さんは、まだ品種として固定されていないが、と前置きしながらも、この品種に大きな期待をかけている。
 こればかりではなく、試験場スタッフ全員が日系農協中央会に移管される二O一O年までにCETAPAR〃オリジナル〃大豆品種系統を作り上げるために日夜精進している。活気に満ちた試験場だ。
 今年のDia・de・Campoでは十名ほどの非日系青年男女の参加が目についた。
 試験場は二年ほど前から大学農学部の学生を一~二カ月の短期受け入れを行っている。一種の国内留学だ。
 「卒業論文を作るためですよ。ここには試験器具も教材となる作物がいっぱいあります。昨年は三名が卒論をまとめて卒業しました。今年は十名のうち六名が卒論作成の予備軍ですよ」、と作物班長の関節朗さん。CETAPARが農家だけでなく、学生にも機会を提供していることは隠れた事実だ。
 「大豆の品種のこと、播種期のことなど、とても参考になり、満足よ」とは女子学生四名の率直なDia・de・Campo初体験談だ。
 今期は天候にも恵まれて三年ぶりに大豆の豊作が見込まれ、参加者の表情にゆとりが見られた。すでに収穫が始まっており、作業は四月中旬まで続く。

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