ホーム | 日系社会ニュース | コロニアが育てた大衆演劇役者『響ファミリー』=100周年記念=伯公演決定=女形の舞い、笑いも涙も=今年6月まずミニ公演を

コロニアが育てた大衆演劇役者『響ファミリー』=100周年記念=伯公演決定=女形の舞い、笑いも涙も=今年6月まずミニ公演を

2007年3月21日付け

 毎年コロニア芸能祭の舞台を飾った、〃コロニア育ち〃の役者は日本に渡って、旅芸人として独立。今、日本の全国各地をまわって、大活躍している。このほど、一座が、日本移民百周年記念公演を開催することが決定した――。大衆演劇劇団『響ファミリー』が今年の六月下旬から七月にかけて来伯、百周年記念公演の打ち合わせをするとともに、ミニ公演を予定している。『響ファミリー』のホームページが伝えた。同劇団の座長で日系三世の、響彬斗(ひびき・あきと、25、本名=松井滋樹)さんは、「コロニアのみなさまにぜひ、成長ぶりを見てほしい」と、母、宮子さん(63)に意気込みを語っている。
 「これだけやれるようになったのもコロニアの人のおかげ。百年祭には、錦を飾るつもりで戻ってくるのよ」(宮子さん)。
 『響ファミリー』の座長、彬斗さんは北海道旭川生まれ。二歳の時に日系ブラジル人の父らと家族でブラジルに移住した。
 「小さな頃からお祭りが大好きで、今でも太鼓の音を聞くと盆踊り会場へまっしぐら」(ホームページより)という彬斗さんは、六歳から、花柳流名取り寿美富代さんのもとで日本舞踊を始める。
 三味線、剣道、カラオケ、和太鼓ショーもこなし、コロニア芸能祭に毎年参加。「言葉ではなく、踊りや曲で人に思いや感動を伝えられるんだなと初めて実感しました」(ホームページより)と、彬斗さんは当時を振り返った。
 二〇〇一年、訪日して、著名な劇団へ入団。三年間の修行、一年間のお礼奉公の末、〇五年十月十日に、大衆演劇劇団『響ファミリー』を立ち上げた。〃感動が心に響き渡るように〃と『響』。夢は「日本の文化を世界の人々に知ってもらいたい」と大きい。
 彬斗さんと劇団をともに組んだのは、ブラジル生まれの弟、一真さん(22)。彬斗さんについて四歳から日本舞踊を始め、十八歳のときに日本にいる彬斗さんのところへ遊びに行ったきり、帰らなくなった。「(彬斗さんを)舞台の袖でずっと見てきた子だから、(日本での稽古)が楽しかったのでしょ」と宮子さんは、しかたなさそうに笑った。
 『響ファミリー』の舞台は、しっとりとした女形のの舞いに始まり、立ち役、股旅物、喜劇やおかめ、ひょっとこ、和太鼓、カラオケなどと内容は七変化。「ほかの人と同じことをやっていたら売れない」(宮子さん)と、飽きさせない。
 劇団設立から、日本のDVDを発売し、昨年年末に東京で開催された「響ファミリー・スペシャル・ディナーショー」には、約三百人の観客が会場を埋めた。訪日していた宮子さんは、涙あり笑いありの舞台を「ぜひコロニアに人に見てもらいたい」と思ったという。
 一団は、静岡、名古屋、広島、岩手など全国各地で公演を行いながら、旅役者としての知名度を上げつつある。東京都の「足立よみうり」紙に取り上げられた。
 このほど、同ファミリーの百周年記念公演の開催を決定し、今年六月末、打ち合わせとミニ公演のために帰伯するという。「日本の大衆演劇を世界に響かせたい」とブラジルを旅立った青年が、コロニアでいかに錦を飾るのか、期待したい。
 劇団のホームページは、http://www.hibikifamily.com/index2.htm。

image_print