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アリアンサ移住地から情報提供の呼びかけ《上》=不可解な『金券』の存在=寄稿=渡辺伸勝

2007年4月4日付け

 二〇〇四年に第一、昨年には第二と、着々と入植八十周年を迎えたサンパウロ州ミランドポリスのアリアンサ移住地。今年は第三アリアンサ富山村が節目の年を迎える同地で現在、移住地創設八十年史の編纂が進んでいる。編纂にあたってこのほど、研究のため同地を訪れ記念史の編纂にも関わっている研究者の渡辺伸勝さん(関西学院大学大学院言語コミュニケーション文化研究科博士後期過程在籍)から、情報提供を呼びかける寄稿があった。二回にわたって紹介する。

 アリアンサでは、二〇〇五年にアリアンサ移住地史編纂委員会が結成され、アリアンサの八十年史の編纂が進められている。以後今日まで、その歴史を編纂するための大々的な調査が進められており、これまでの文献では知られていなかった事実がいくつも発見されている。
 その中で特に興味深いのが『金券』の存在である。昔、アリアンサ内では金券なるものが使用されており、通常の貨幣の代用とされていたらしいのだ。このことは、高齢者からの聞き取りで分かったものだが、再度文献を調べ、聞き取りを行なってみると、確かに金券が使われていたことが確認された。
 これまでのところ、(1)アリアンサからアラサツーバまでの範囲で使用されたことがあること、(2)現金と引き換えに移住地事務所で手渡されること、(3)金券の大きさは2×3cmのもので、価格によって数種類の異なる色の券があり、裏面には当時のアリアンサ移住地の現地理事(輪湖俊午朗)の印が押されていること、(4)一九二七年頃発行され、一九三二年に回収された、などが分かった。
 しかし肝心の部分が見えてこないのである。つまり、なぜ金券を発行し、どの地区でどれほど人々が利用していたのか、現金と併用だったのか、金券のみが使用されていたのか、現金とまったく同じ使い方をしていたのか、アリアンサ以外の場所でも本当に使えたのか、そういったことが不明なのである。
 金券の使用についての詳細が分かれば、当時のアリアンサの生活実態をさらに理解することにつながるであろう。アリアンサ移住地史編纂委員会では、アリアンサで発行された金券を重要な文化遺産と見做し大々的に捜索しているが、未だに見つかっていない。
 金券の実物をお持ちの方や、金券についての情報をお持ちの方がいれば、ぜひアリアンサ移住地史編纂委員会にご一報をお願いしたい。

連絡先:矢崎正勝 
Associacao Comunidade Yuba
Bairro 1a Alianca C.P.531,Mirandopolis, CEP:16830-889 Sao Paulo
Tel.(018)3708-1247 / E-mail:masayuba@itelefonica.com.br

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