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大原毅氏が会長候補に浮上=文協選挙=渡部氏が説得工作に=鍵にぎる上原氏の去就

2007年4月6日付け

 文協改革、最後の詰め!?――。水面下の動きが続く文協会長選挙。「しんせいきのかい」世話人の小山昭朗氏は四日、渡部和夫・文協顧問に接触した。両者は三派による単一シャッパの可能性を探ったようだ。
 渡部氏が個人的な意見と前置きしながら、「もっとも相応しい」として説得したいとしているのは、大原毅・文協評議員長。
 小山氏によれば、「しんせいきのかい」としては、大原会長案は容認しているが、体制側が受けなければ、高木ラウル氏を担ぐ可能性も示唆しており、予断を許さない状況に変わりはない。
 渡部氏は「しんせい―」の会合で、会長候補に挙がった高木、多羅間俊彦両氏に関して、「多羅間氏は前回のシャッパで固辞された経緯があるが、今回はぜひ理事に入ってもらいたい。高木氏は新聞社の社長ということもあるし、立場上難しいのでは。GAS(現体制支援グループ)側の考えもあるうえ、個人的に話していないのでなんともいえない」と取材に答えた。
 一方、「上原氏とはできない」と公言している小川彰夫氏は、「大原さんが受けてくれるなら最高。一番いい選択だと思う」と話す。小川氏は、前回選挙のさいに、独自シャッパの会長に大原氏を推した経緯もある。
 渡部氏は、小川氏とは連絡を取っていないが、「一緒のシャッパを作ることが理想」と単一シャッパの実現に腐心しているようだ。
 四日夜に行われた評議員会選挙管理委員会の慰労会に出席した大原氏にこの件をぶつけると、「そんな話があるんですか」と笑いつつ、答えを濁した。
 三月末に小川氏はこの件について切り出しているが、「絶対にない」と固辞されている。大原氏は年齢を理由に、今回の選挙を最後に文協とは距離を置く考えもあるようだ。
 しかし、渡部氏が説得し、三派が推薦するとなれば、コロニアのために立たざるを得ない状況になることは必至と見られる。
 両者の主張が真っ向から対立するのは、百周年協会における上原理事長の去就だ。渡部氏は時間的な問題を挙げ、「上原氏には、これから動きが活発化するであろう百周年協会の理事長を継続してもらうのが理想では」と話す。
 文協会長ではなくなるが、定款上、永年評議員である上原氏が、文協の代表として百周年のトップを続けることは可能だ。
 これに対し、小山氏は、「頭を下げない人に会長はできない。名誉会長になってもらうのがいいのでは」とあくまで文協、百周年両方での〃上原はずし〃が大前提の立場を取っている。
 小川氏は、文協執行部が替われば、百周年協会にも影響力が出るとみており、この点については五日夜の「しんせいー」、小川両派の会合で調整が行われる予定だ。
 〃玉虫色〃の公認評議員も指摘されるが、多数を押さえているといわれるGASに対し、百周年のトップ交替という大人事を条件にするには、「しんせい―」の牽制の効力に疑問が残るため、現状では大原氏説得に力を入れると見られる。
 二〇〇三年から始まった文協改革。「百周年を目前に控えた今回の選挙が改革最後のタイミング」と渡部氏は八日、GASの会合に出席、検討するという。
 日々刻々と変化する文協選挙の行方。現状では、大原氏の判断が今回の選挙、ひいては文協、百周年の命運の鍵を握っているといえそうだ。

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