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プロジェクト・トゥカーノ=デカセギ子弟向け教材公開=ダウンロードして無料、自由に使える=「足し算と引き算」「漢字」=すでに〃使い勝手〃確認ずみ

2007年4月13日付け

 在日ブラジル人の子弟教育の一助に――。東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターは、在日ブラジル人児童向け教材開発プロジェクト「プロジェクト・トゥカーノ」を推進している。日本語を苦手とする子供が、算数や漢字を日本語でわかりやすく学ぶための教材を作成。一日から「足し算と引き算」と、小学校一年生から三年生で学ぶ漢字の教材が、インターネット上(http://www.tufs.ac.jp/common/mlmc/kyozai/brazil/)で公開されている。ダウンロードすれば、誰でも無料で使用できるため、在日ブラジル人子弟子弟教育に役立てられることが期待されている。
 現在、日本にいるブラジル国籍の外国人登録者は、三十万人を超えている。そのうち、五歳から十五歳の年齢の割合が約一〇%(「平成十六年末現在の外国人登録者統計について」より)を占めて、約三万人ほどになる。
 文部科学省によれば、ポルトガル語を母語とし、公立学校に在籍しているが日本語指導が必要な児童は、一九九〇年代後半から七千人前後を数え、〇五年は七千五百六十二人だが、ブラジル人学校や、不登校や未就学の児童を含めれば、日本語による教育を必要としている児童は、さらに多いだろうと考えられる。
 「日本語を苦手とする子供のために」と行われている同プロジェクトは、社会貢献に取り組む三井物産の協力により実現。ブラジルの国鳥トゥカーノを名前に「子供たちに親しみをもって学んで欲しい」との思いを込めた。試作版をブラジル人が多い地域の小学校で検証し、すでに、使い勝手を確かめてある。
 算数では、足し算や引き算などを学びながら、必要とされる最低限の日本語を学べるようになっており、付属の指導者用教材では、ブラジルでの計算方法やポルトガル語からの視点などを解説。
 「ポルトガル語の百は「セン」というため、日本語の千と混乱する可能性がある」「釣り銭は、購入金額に足しながら支払い額になるように数える」など、子供がつまずきやすい点を補うように工夫している。
 また、漢字の単元では教材に「Gosto Muito de Kanji(漢字が大好きです)」と名付け、多くのイラストとポルトガル語の翻訳で、楽しく学習できる教材を目指した。
 これからは、ホームページ上で活用事例などを紹介しながら改良を加えていくとともに、掛け算、割り算、分数や高学年の漢字、さらに、理科の分野でも教材が作成される予定だ。

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