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コラム 樹海

2007年4月14日付け

 春雨とは遠い激しい雨に迎えられ日本を公式訪問した温家宝首相は、トキを2羽贈呈しますと語り、日本産コメの輸入も決まるなど明るい話題が多い。羽田と上海を結ぶ航空便も実現し、これを機会に日中交流と相互理解が活発になることを期待したい。安倍首相は晩餐会で和牛と鮨でもてなし「日本のご飯とお肉(略)が一層広まるよう温総理に指導力を発揮してほしい」と挨拶し笑いを誘ったそうだ▼尤も、コメの輸出とは言っても、年間に数百トンがいいところだろう。中国のコメ消費量は年2億トンなので百トン単位では喧嘩にもなるまい。それでも、上海などの金満家が「日本のコメは美味」と知って輸入に踏み切ったのは、さすがは「食の国」である。でも、両首脳の会談はかなり激しかったらしい。台湾の問題では熾烈な議論があって温首相が求める「独立に反対」にはならず安倍首相が「独立は支持しない」と明言し丸く納めたのは評価したい▼国連安保改革についても、話し合いがあった。ここでも中国はしたたかさを発揮したのは、真に残念と言わざるをえない。「日本が國際社会で一層大きな建設的役割を果たすことを望んでいる」と述べただけなのである。しかし、中国が日本の安保理入りに昨年、猛反対した事実を日本人は忘れてはいない▼中国首相の訪日は6年半ぶりであってその政治的な意義は大きい。この外交路線が続き胡錦 国家主席の訪日に繋げ真の友好を築きたい。これは日中国民の願いでもある。それなのに、両国の外交には深い溝が横たわっているのは間違いなく、先ずはこれを埋める努力からである。   (遯)

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