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■記者の眼■―――みなで補い合う百周年に=組織としての取り組みを

2007年4月18日付け

 総会後、谷広海日本語センター理事長は松尾執行委員長に歩み寄り、日本で免税口座を作る時に必要な書式一式を手渡した。執行委員長は「すぐに手続きを始める」と感謝し、小川事務局長に指示をした。これは海外日系人協会に依頼して開設してもらう特別な免税口座だ。
 十二月初旬に日本のIPC社から百万レアルの寄付の申し出があったが、実は、この免税口座がなかったために受け取れなかった。谷氏によれば「普通は手続きに三カ月ぐらいかかるのでは」としており、即急な手配が望まれるところだ。
 協会内の誰もがブラジル側免税口座に目先が集中し、肝心の日本側口座が忘れ去られていた。「だから協会はダメだ」とただ批判するだけでなく、みなが足りない点を協力しあう体制がそろそろ必要だ。
 松尾執行委員長は年頭から三月初めまで記念事業予算の削減に奔走、二週間の訪日で九都道府県を説明行脚し、帰ってきてすぐの総会だった。その間、削減予算案を煮詰めて、総会で説明できる状態にする作業を誰もしていなかった…。
 いい加減、何でもかんでも執行委員長任せの状態から脱却する必要がある。全会議に参加するのは、執行委員長本来の仕事ではない。
 すでに各委員会の責任者は任命されている。役割分担し、組織として取り組まなくてはいけない。執行委員長は各事業責任者からの報告を聞き、全体を俯瞰した視点での調整や、足りない点に注力してバランスを取る役割をする。
 今までのように足軽から将軍までを一人でやっている状態はおかしい。松尾氏は「今後しばらくは資金集めに集中しなくては」と考えている。
 百周年を手伝える人材は一世、二世を問わず加勢を申し出てもいい時期だ。「誰それは何派だからダメ」と遠巻きにしている状態では、いつまでたっても盛り上がらない。
 「小異を捨てて大同につく」心構えこそ必要だ。現体制に何かが足りないと感じるなら、批判するばかりでなく、補う働きを自分がすればいい。
 高みの見物を決めこんでいないだろうか。結果的に百年祭が盛り上がらず、他人事のようにせせら笑ったところで、コロニアの外側からすれば「ジャポネースはすぐ仲間割れする」との悪評判を呼ぶだけで、結果的に「天に唾する」行為に等しい。
 誰が新百周年理事長になっても、つばぜり合いを演じて相手を排除するのでなく、共にやっていくなかでお互いを修正していく謙虚さが必要だ。それこそが〃共生〃ではないか。(深)

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