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パ国で始まった『平和への祈り』展=JICA青年ボランティア=国内有志10人が企画=原爆被爆の悲惨さ=現地中学生が伝える

2007年4月21日付け

 【イグアスー発】四月に入ってパラグィアで「平和への祈り」と題する展示会が始まった。国内各地で活躍しているJICA(独立行政法人・国際協力機構)の日系社会青年ボランティア(日青ボ)と海外協力青年隊員(隊員)の有志十名が自主的に企画し運営しているのが特徴だ。原爆を通して平和を考えようというもので、ボスター五十枚とDVDは「広島平和記念資料館」より提供を受けた。両方とも日本語とスペイン語二種類で理解しやすい構成となっている。
 趣意書には《広島・長崎に原子爆弾が落とされ六十二年、その間、多くの人が幸せを奪われ苦しみました。そして、いまだにその苦しみは続いています。しかし、現在、いくつかの国が「核」を持ちたいと望み、いくつかの国が実際に「核」を保持しています。世界の人々は「原子爆弾」がもたらした悲劇を忘れてはいけない。この悲劇は過去のものではなく、いつでも未来のものへと転じる可能性があるのです。だからこそ、より多くの人々にこの現実を知って欲しい、平和について共に考えたい》と書かれている。
 まず、四月九日から三日間、イグアスー日本人会サロンで開催された。イグアスー日本語学校で教鞭をとっている白石素子さん(日青ボ二十一回生、大阪府)は「小学六年生の教科書に『平和へのとりでを築く』という項目があるが、教える側にも教わる側にも実感が湧かない。ボリビアに研修旅行に行った時に、私たちの仲間たちが展示会をやっているのを見て、子供たちが自分たちの意識で考える工夫が必要だ、というヒントを得た」と言う。 そして、同校で中学部の自主研究となった。これが生徒たちの自信につながり、理解を深めた。展示会では来場した同世代の非日系生徒や父母や一般市民に〃自分の言葉〃で説明できるまでに成長した。
 生徒たちの感想は「ぼくはDVDを上演する係りでした。だから、前からお客さんの顔が見えます。真剣な顔、衝撃を受けた顔、泣きそうな顔、目を伏せている様子。これだけ真剣な人の顔を見たのは初めてです。それだけ、この原爆展がみんなの心に訴えるものがあったのだと思う」(上村秀一くん)
 「原爆展を生徒会を中心として中学部で行います、と白石先生に言われた時は、あんなに大変なことをやるなんて思ってもいませんでした。準備が始まったら、みんなすごく真剣に取り組みました。初日、スペイン語学校の生徒がたくさん来て、すごく真剣に見てくれた。一般の人は涙を流している人たちがたくさんいました。帰り際に『ありがとう。よかったよ、本当にありがとう』といろいろな人から言われて、『本当にやってよかった』と心のそこから思いました」(生徒会長の大山しおんさん)。
 生徒たちの心情に応えて堤和子校長(東京農大卒、青森県)は、「私自身は、被爆され、その後をパラグアイに住んでおられる方のお話をスペイン語に訳すお手伝いをしたとき、そのすざましさに胸がドクドクしてきて涙が止まりませんでした。その方々のつらい思いをたくさんの人に見てもらわなければ、という思いに変わっていきました。今回は生徒たちが真剣に取り組んでくれ、本当に嬉しいです。貴重な機会を設けてくれた白石素子さんと青年ボランティアのみなさんに感謝しています」と手記に書いている。
  「平和への祈り」展示会は、より多くの人々の心に「平和」を思う気持ちが芽生えることを期待しながら、十一月末までパラグア
イ各地で巡回開催される。それぞれの地で日青ボと隊員が企画運営に当たる。

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