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準二世文学を博士論文に=米から留学のリヴァスさん

2007年4月28日付け

 「将来は大学の教壇で日系社会の存在を知らせたい」――。
 米・カリフォルニア大学からのフルブライト留学生として、ゼリデス・マリア・リヴァスさんが一月末から在聖、博士論文「ブラジルの準二世文学」に関する調査と資料収集を行っている。
 論文のための来伯は、〇一、〇三年に続き、三回目。同大学の修士論文では、石川達三の「蒼氓」、岡松和夫の「異郷の歌」を取り上げるなど、日系移民を対象に研究を続けている。
 米の文学研究者らとの共著「ラテンアメリカ文学におけるアジア系の現れ」(Asian Presence in Latin American Literature)では、コロニア万葉集をもとに、ブラジル日系文学を取り上げたという。
 「現在は、梅崎嘉明さんや弘中千賀子さんの本を読む毎日」と笑いながら、サンパウロの生活を話すリヴァスさん。
 「子供のころに印象づいたブラジルの風景、気持ちの表現方法に何故、文学を選んだのか。準二世の記録を通じて、コロニアの歴史を読み解ければ」と続ける。
 現在は、日系社会を取り巻くブラジル社会の背景などについても考察を深め、USPの図書館で文献を読み込んでいる。
 リヴァスさんは二歳のとき、プエルトリコから、家族でアメリカに渡った〃準二世〃。
 日本へはロータリークラブを通じて十五歳の時、埼玉県内の高校に一年留学。大学では日本語を専攻し、国際基督教大学でも学んだ。
 日本ばかりに目が向いているとき、父親の「ラテンアメリカのことにも興味を持ってほしい」という言葉を聞いた。
 「南米と好きな日本文化との接点を探した」結果、ブラジルのコロニア文学にいきついたのだという。
 「作品に頻繁に出てくる『赤土』の感じを肌で感じなければ」と今回は地方にも足を伸ばしたい考えだ。
 準二世に取材を重ねながらも、週末は日系のイベントにも足繁く通う。
 「来年は百周年。三、四世は日本語ができなくなっている。今こういう研究をしないと、準二世文学が残らない」と表情を引き締めるリヴァスさんは、八月までサンパウロに滞在する。

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