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大耳小耳

2007年6月9日付け

 ノロエステ線に平野植民地の悲劇があるように、ふるさと巡り一行が向かったソロカバナ線も歴史に事欠かない。ブレジョン植民地の創立者の一人、星名謙一郎の愛人お玉は小柄で色白な品のある女性だったという。父娘のように歳の違う星名のへの愛情表現は、実に大和撫子らしい奥ゆかしいものだったとか。一九二五年十一月十日、土地問題でもめるブラジル人が二人の住む板子小屋を襲撃し、銃弾が壁を射抜くなか、応射した星名の弾丸が不幸にも当たったのはお玉だった。その一周忌の直後、二六年十二月、星名自身が駅頭で銃弾に倒れたのは何の奇縁か。
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 百周年に対してもそうだが、協力、参加したいのだが、どうすれば―、ということはよくある。「ブラジルを知る会」は、史料館を直接支援する形でのブックフェア開催にこぎつけた。過去八千冊集まったことがあるそうだが、今回はまだまだのよう。記者もそうだが、〃積ん読〃タイプの読者も多いのでは。本の寄付をきっかけに蔵書の整理を行なってはいかが?
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 第百三十回芥川賞を受賞した金原ひとみさんの「蛇とピアス」がポ語訳され、出版されている。最年少受賞者となった綿矢りささんと同時に受賞し、純文学に新しい風を吹き込み、話題になった。内容はかなり過激なものだが、文藝春秋に掲載されたことから読んだ方も多いのでは。掲載された同誌は最多発行部数を記録、単行本もベストセラーに。さてブラジルでの反応はどうか。

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