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コラム 樹海

2007年6月20日付け

 本来はこれが普通なのだろうが、少し気になる催しがある。気になるといっても、不愉快なのではない。石川県人会文化祭は、同県人会館で開設されている各種教室の一年一回の発表会である。先週末、催された▼発表は、水彩画、陶芸、生け花、茶道、俳句、謡曲であった。できるだけ多くの(外部の)人に来て観てほしい、ということになれば、〃客寄せ〃の催しなど考えられるのだが、こうしたものは一切ない。食べてもらったり、演芸などは、はじめから考慮しないのだ。客はどうしても多くはないだろう▼主催者は、ほかに足を向けてもらう催しがあったほうがいい、という意見があることは知っているようだ。しかし、守り通すかのように方針を変えていない。こうして今年まで八回続いてきた▼もう一つ特筆すべきことがある。こうした各種教室で使う部屋代がきわめて安い、限りなく無料に近いのだ。恩恵を蒙っている人たちが「電気代程度です」と言う。なぜ、こうなのか。これは県人会役員会の「志」というほかない▼県人会館はどこも運営維持費捻出にきゅうきゅうしている。一レアルでも多く、貸し料を徴収したい。他団体の数ある教室の主宰者は、展示発表会をするとなると、出品する生徒から出品料を集めないと会場確保ができない、とよくいわれる▼石川県人会とて例外でなく、〃台所〃がそんなに豊かであるはずがない。にもかかわらず、こうした方針を貫いている。利用側にとって歓迎できるし、ありがたい。(神)

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