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日系初の労働高裁判事が誕生=アサイ出身の小野英三氏=上田氏に続く法曹界最高位=日系であることに誇り

2007年8月11日付け

 労働高裁にも日系判事が誕生――。ルーラ大統領は七月十九日、クリチーバの第九地方労働裁判所長官などをつとめた小野英三フェルナンド氏(58)を連邦高等労働裁判所の判事に任命した。大臣格の役職である同役職に日系人が就任するのは初めてとなる。
 パラナ州トレス・バラス移住地(現アサイ市)出身の小野判事は、ロンドリーナ市役所に勤めるかたわら同州立大学法学部を卒業。同市役所での勤務を経て一九八〇年、第九地方労働裁判事となった。父親は北海道出身の小野忠次郎氏。
 サンタカタリーナ州フロリアノーポリス、コンコルヂア、パラナ州ポンタ・グロッサ、コルネリオ・プロコピオ、マリンガ、ロンドリーナなどで勤務。ロンドリーナ、コ・プロコピオ各支所で和解調停委員長を務め、九九年、第九地裁監督官に就任した。
 〇一年から同裁判所副長官、〇三年から〇五年まで長官を務め、このたび、二〇〇三年に決まった判事増員(二十一人から二十七人)にともなって補充される三人の一人(三人は空席)として連邦労働高裁判事に任命された。
 日系人の法曹界トップレベルへの就任は、昨年五月に連邦高裁判事に就任した上田雅三氏に続き、二人目。
 ニッケイ新聞の取材に対し小野判事は、「司法関係者として最高の地位に上がれたことは、大きな喜びであり名誉なこと。州レベルの関係者の支持があったことも大きいと思います」と喜びを表した。
 また、百周年を翌年に控えた時期の就任についても、日系コミュニティがブラジル社会の各分野で果たしてきた貢献の大きさを強調し、その一員であることを誇りに思うと語った。
 アサイ文化連合会会長をつとめる小岸穎郎さん(64)は、小野判事と同じアサイ市パルミッタル地区出身。「小さい時から〃勉強して偉い人になる〃と言っていました」と振り返る。小野一家は英三氏の小学校卒業後、勉強のため一家で町へ出たという。両親の子弟教育への熱意を物語るエピソードだ。
 「百周年の機会に、アサイでもお祝いしようと話し合ったところ」だという。小岸会長は、「地元出身者が成功するのはありがたいこと。コロニアの誇りだと思います」と喜びのコメントを寄せた。

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