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「岩手の森」が広がった=イグアスー移住地=県人ら植林を実施

2007年8月14日付け

 【イグアスー発・既報関連】ブラジルとの国境に近いイグアスー移住地にある「岩手の森」で五日、同移住地に住む岩手県出身者が集まって植林を行った。この森は、去る三月三十一日、アルゼンチン岩手県人会(佐々木太吉会長)の一行が同移住地を親善訪問したのを記念してイグアスー岩手県人会(菅原祐助会長)が計画して実現した(本紙・四月十九日報道)。交流の永続性を願っての行動であった。
 当日はイグアスー日本人会の環境保護委員会の篠藤菊雄委員長(愛媛県出身)ら委員七名全員が応援にかけつけて苗木の準備や植える手順の説明などを行った。パラナ松、ラパーチョ(ブラジル名イペー)、セードロ・アウストラリア、など移住地の気候に適した数種類、約百五十本が手際よく植えられた。苗木はすべて日本人会の育苗センターで育てられたものだ。
 去る三月下旬、在亜の同県人たちに「今後は移住地の県人会員と家族が総出で植林を続け、この森を育てていきます」と菅原会長が約束した言葉が着実に実行されている。
 移住地に住んでいる岩手県出身者は二十五家族と多い。パラグアイでは岩手県人会が移住地ごとに独立しているのが特徴だ。その反面、会員同士の結束が固く、決断や行動が迅速だ。八月二十三日から二十六日まで移住地の中央公園で開催される第十回EXPO YGUAZUで、ソバと搗きたて餅を中心に県人会食堂を出すことも、植林を終えて昼食懇親会を待つわずかな時間の会合で決まった。
 イグアスー日本人会(公文義雄会長、高知県)は、二〇〇六年から日本経団連自然保護基金(本部・東京)の助成を受けて〃森づくり〃のための植林を行う一方で、育苗センターを建設して苗木作りも手掛けている。六月に第二期工事で、育苗センターを拡張したが、住民による苗木の需要が急増しているため、第二期分でも手狭となり、急きょ、第三期目の拡張を迫られているようだ。老人クラブ会員が中心となって新しい森(寿会の森)を誕生させたのもつい最近のこと。この動きに日本も注目している形跡がある。
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 イグアスー移住地は八月二十二日が入植記念日だ。今年は四十六年目。この日、イグアスー日本人会は共同墓地で慰霊祭を行い、その後で環境保護のための植林を行うことを計画して、会員に家族揃っての参加を呼びかけている。
 健全に育った十分な数の苗木は育苗センターですでに準備されている。用地も確保した。日本語学校の中学生と高等部生も植林に参加する予定だ。
 移住者に敬意を表して市役所は二十二日を特別休日と定めている。また一つ、移住地に〃美しい森〃が生まれようとしている。

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